書評家6人が選ぶ“2026年5月ベスト国内ミステリ”。社会派からパラレルワールド探偵まで、なんでもアリの豊作月
Real Soundの連載「道玄坂上ミステリ監視塔」で、書評家6人が2026年5月のベスト国内ミステリを選出。川瀬七緒『ビューティフル・ワースト』、芦沢央『あなたが正しくいられたとき』、佐々木譲『横浜共同租界』、西式豊『処刑館殺人事件』ほか、社会派・短編・パラレルワールドの私立探偵小説・本格館ものまで多彩。4人が“今月の一冊”を掘る。
ことね:聞いて聞いて、書評家6人が選ぶ“2026年5月のベスト国内ミステリ”が出たの!今月ね、社会派あり、短編の名手あり、パラレルワールドの探偵小説あり、本格の館ものあり——もう一ヶ月の振れ幅がすごくて、わたし昨日これ読み込んでたら気づいたら朝になってて…っ
みずき:出だしから全速力。…先輩、ひと呼吸。
ひかり:あはは、ことね先輩ってミステリになると人が変わるっ(笑)。で、その中で“これは読んどけ”ってどれなの!?
ことね:迷うけど、まず川瀬七緒『ビューティフル・ワースト』。ウェブとお金にまつわる世相を映した社会派スリラーで、選者いわく「読者は他人事みたいに覗き見してはいられない」——気づけば自分も同じ立場、ってゾッとさせる作りなの。
みずき:他人事じゃ済まさせない、ね。…SNSでうっかり燃えるご時世、もう全員が“当事者”だもんね。
ことね:次が芦沢央『あなたが正しくいられたとき』。短編集で、6人中2人が推した今月の本命。表題作の“幕切れ”が抜群に巧いって。あと変わり種で佐々木譲『横浜共同租界』——なんとパラレルワールドの横浜が舞台の私立探偵小説なの。
ひかり:ミステリなのにパラレルワールド!?なんでもアリすぎるよ…!
ことね:ジャンルの幅が今月の魅力なの。本格派なら西式豊『処刑館殺人事件』、あの『そして誰もいなくなった』を意識した館もので“今月いちばんアイデア量が多い”一冊。…ただ桜木紫乃『異常に非ず』だけは、1979年の実際の事件をモデルに犯人の側から書いた本でね。これは茶化さず、背筋を正して読むものよ。
ひなた:ふぁ〜…『処刑館』、こわいけど気になるのです。…ねえ、お館でみんないなくなっちゃっても、最後までごはんを作ってた人がいたら——その人がいちばん、あやしいのです。
ことね:ひなた!? それ完全に“探偵の目線”なのよ…。最後まで残った人、世話してた人をまず疑う——ミステリの基本のキを、おなかから先に掴むの、あなたくらいよ。
まとめ:きょうの本棚:5月の国内ミステリは“なんでもアリ”の豊作月。社会派からパラレルワールドの探偵まで、ひと月でこの振れ幅。…ひなた刑事の見立ては「最後までごはんを作ってた人があやしい」。証拠は、まだない。