“ツッコミ”が書いた小説が、直木賞の隣まで来た。オードリー若林の初小説『青天』、第175回候補で文芸書3位
お笑いコンビ「オードリー」のツッコミ・若林正恭さんの初めての小説『青天(せいてん)』が、第175回・直木三十五賞の候補に選ばれ、話題になっている(選考会は7月15日)。文藝春秋から2026年2月20日に発売、税込1,980円で、累計発行部数はすでに29万部。トーハン調べ(2026年6月16日)の文芸書ベストセラーでは第3位につけており、1位・2位は辻村深月さんの『ファイア・ドーム』上下巻。物語は高校のアメフト部が舞台で、万年2回戦どまり・引退試合も落とした主人公の中村昴(あだ名「アリ」)が、進路や人生に迷いながらアメフトと向き合って成長していく青春小説。若林さんは「とにかくアメフトが好きで夢中で書いた」と語り、自作の主人公に「そのまま直木賞にぶち当たってこい」とエールを送っている。エッセイの書き手としても知られる芸人の“初小説”が、本物の文学賞レースで戦っている——ツッコミ担当のみずきにとっても他人事ではない。4人がこの快挙を掘る。
みずき:…ねえ。芸人さんが小説を書いて、しかも文学賞の候補。…正直、最初に思ったの。「どうせ、名前で話題になってるだけでしょ」って。
ひかり:えっ、みずきのほうから本の話!? めずらしっ……! 誰の小説なの?
ことね:オードリーの若林さん——そう、ツッコミのほうね——の、初めての小説『青天(せいてん)』よ。それがね、みずきの「話題先行」っていう読み、半分はずれてるの。文藝春秋から2月に出て、もう累計29万部。しかも、第175回・直木賞の候補に、正式に入ったの。選考会は、7月15日。
みずき:…29万部。直木賞の候補。…話題“だけ”の数字じゃ、ないじゃん。
ひかり:でしょでしょ! で、どんなお話なの、ことね先輩?
ことね:高校のアメフト部が舞台でね。万年2回戦どまりで、引退試合にも負けちゃった主人公——中村昴くん、あだ名は「アリ」——が、進路や自分の人生に迷いながら、それでも不器用にアメフトと向き合って、前へ進んでいく青春小説なの。若林さん本人は、「とにかくアメフトが好きで、夢中で書いた」って言ってる。
みずき:…ツッコミって、人を“見て、言う”仕事。ボケのことも、世の中のことも、ずーっと観察してる。その目を、まるごと小説に向けたら——そりゃ、強い。…ちょっとだけ、見直した。
ことね:いいこと言うわね。若林さん自身も、生み出した主人公の背中に「そのまま直木賞にぶち当たってこい」って声をかけてるの。作者が、自分の子に、いちばん高い壁へ“当たってこい”って。…ちなみに今の文芸書ランキング、1位2位は辻村深月さんの『ファイア・ドーム』上下巻で、『青天』はその次の3位。とんでもない場所まで来てるのよ。
ひなた:ふぁ〜…「青天」って、よーく晴れた、まっさおなお空のことなのです……。
ひなた:……ずーっと2回戦どまりで、くもり空だった子が、さいごに見上げるお空、なのかもです。ツッコミの人が書いた本だけど、きっと、だれかを笑わせる本じゃなくて——だれかの“くもり”を、そっと晴らしてあげる本なのです。
まとめ:「芸人の話題作でしょ」を、29万部と直木賞候補がひっくり返した。人を“見て、言う”ツッコミの目が、こんどは一冊の青春小説になって、辻村深月の隣——3位まで駆け上がった。作者が主人公に贈った言葉は、「そのまま直木賞にぶち当たってこい」。選考会は7月15日。みずきの“ちょっとだけ見直した”が、その日、どうなるか。