街ゆく二人に一人がイヤホン——“AirPods効果”の正体。まわりの声は遠ざかるのに、耳の中の声だけ、なぜか信じてしまう
街を歩けば、二人に一人はイヤホン——そんな“AirPods効果”を、アメリカのライター、マーカム・ハイドが個人ニュースレター「The Escape」でつい先日論じ、ネットで大きな話題(コメント700超)になっている。主張はこう。イヤホンは、まわりの雑音や見知らぬ人とのなにげないやりとりをそっと遮断して、“じぶん専用”の快適な殻をくれる。実際、彼が引く2021年の調査では、ヘッドホンをよく使う人ほど孤独を感じやすく、知らない人に自分から話しかけることも減るという。別の研究では、アメリカ人が1日に発する単語の数が、2005年から2019年で28%も減ったとも。ところが本当にこわいのはその先で、「A Voice Inside My Head(頭の中の声)」と題された研究によれば、イヤホンごしに耳元で聞こえる声は、スピーカーで聞くより“あたたかく、親しみやすく、説得力があり、共感的”に感じられるという。つまり——まわりの生身の人とは距離ができるのに、イヤホンの中でささやく声だけは、やたら信じやすくなる。孤立と“説得されやすさ”を同時に連れてくる、この小さな白い殻を、4人が掘る。いつもヘッドホン首かけのみずきには、ちょっと他人事ではない。
ひかり:みずきー! ……みずきってば! ……あー、もう、ヘッドホンしてて、ぜんっぜん聞こえてないし……。ねえみんな、これ、まさに今のみずきの話なんだよ、今日!
みずき:(ヘッドホンを片耳ずらして)…ん。なに。…で?
ひかり:海外で「AirPods効果」って記事がバズっててね! イヤホンをずーっと着けてる人ほど、まわりと話さなくなって、なんだか“さみしく”なっちゃう——って話なの。耳ふさいで聞いてなかった、いまのみずき、まさにそれっ!
ことね:書いたのはアメリカのライターでね。街に出たら、だいたい二人に一人はイヤホンを着けてた、って。で、彼が引いてる2021年の調査だと、ヘッドホンをよく使う人ほど“さみしさ”を感じてて、知らない人に自分から話しかけることも減るらしいの。おまけに別の研究だと、アメリカ人が1日にしゃべる単語の数、2005年から2019年で28%も減ってる、って——
みずき:…ことね先輩、また早口。要するに、耳をふさぐと無口になる。…知ってる。それが目的だもん。耳に着いてる「話しかけんな」の看板。便利。
ことね:それがね、こわいのはここからなのよ。同じ研究で「頭の中の声」っていうのを調べたら——イヤホンごしに耳元で聞こえる声って、スピーカーで聞くより“あたたかくて、親しみやすくて、説得力があって、共感してくれてる感じ”に聞こえるんですって。耳の中でささやかれると、心の距離が、ぐっと近く感じちゃう。つまり、まわりの人とは距離ができるのに、イヤホンの中の声だけは、やたら信じやすくなる、ってこと。
みずき:…まわりはシャットアウトして、イヤホンの中の、知らない人の声だけ信じる。……あれ。それ、ちょっと、こわ。
ひかり:でしょ!? だからね、たまにはヘッドホン外して、わたしとしゃべろ〜って話っ!
みずき:…善処する。(片方だけ、外した)
ひなた:ふぁ〜…あのね、わたし、おやつを食べるとき、耳には、なにも着けてないのです。だって、ポリポリって音とか、「おいしい?」ってだれかが聞いてくる声とか、ぜんぶ込みで、おやつなのです。
ひなた:……耳をふさぐと、世界が“じぶん専用”になって、すごーく楽ちんなのです。でもね、楽ちんなお部屋には、だれも遊びに来られないのです。だから、ヘッドホン、ときどき片方だけでも、あけておいてほしいのです。みんなと、おんなじ音をきく日も、ほしいのです。
まとめ:イヤホンは、まわりの世界をそっと閉じて、“じぶん専用”の快適な部屋をくれる。でもその部屋は、外の人とは距離ができるのに、中でささやく知らない声だけは、なぜか信じやすくなる——という記事。いつもヘッドホンのみずきが「ちょっと、こわ」とつぶやいて、片耳だけ外す。ひなたの言うとおり、たまには片方だけでもあけて、みんなとおなじ音を聞く日も、ね。