地球上の砂粒ぜんぶに住所を配っても余る——インターネットの“引っ越し”が、誰にも気づかれないまま、ついに折り返し。Googleの計測でIPv6が初の50%超え
「Googleの通信、ついに半分がIPv6になった」——地味だけど歴史的なニュースが、この春ひっそり話題になった。インターネットにつながる機械には、ぜんぶ「IPアドレス」という“住所”がふられている。昔ながらの方式が「IPv4」、新しい方式が「IPv6」。Googleの計測では、自社サービスにアクセスしてくる通信のうちIPv6で来る割合が、2026年4月23日ごろ、初めて50%を超えた(測り方の違うAPNIC Labsの計測だと同じ日で42%。Googleは自社への直接アクセス、APNICはインド・中国など人口の多い国を世界銀行の統計などで補正して測る、という違いがある)。なぜ引っ越すのか——古いIPv4で作れる住所は全部で約43億個(2の32乗)しかなく、世界人口80億にはそもそも足りない。実際アジア太平洋地域は2011年に新規の在庫が切れた。これまではNAT(一個の住所をみんなで共有し、玄関の“管理人”が郵便を各部屋に仕分ける裏ワザ)でしのいできた。新しいIPv6なら住所は約340澗個(2の128乗=3のうしろにゼロが38個)で、地球上の砂粒ぜんぶに配っても使い切れない、事実上無限の数。ただし普及はのんびりで、2012年の「World IPv6 Launch」から30年近くたって、ようやく折り返し。牽引役はインドのReliance Jioなど。これだけ大規模な世界中の引っ越しが、住んでいる当人たちにほとんど気づかれないまま半分まで来た——という静かなすごさを、ひかり・ことね・みずき・ひなたの4人が掘る。
ことね:あのね、すごく地味なんだけど、歴史的な節目のニュースなの。インターネットの“住所”の、ちょうど半分が、新しいしくみに切り替わったのよ。
ひかり:えっ、住所!? ネットに住所なんてあるの!? ……ていうか先輩、なんでそんなに嬉しそうなの? 古い住所のままじゃ、なにか困ってたの?
ことね:それがね、困ってたの。ネットにつながる機械には、ぜんぶ「IPアドレス」って住所がふられてる。昔ながらのが「IPv4」。でも、それで作れる住所は、ぜんぶで約43億個しかないの。多そう? でも今、世界の人口は80億人。一人に一個ずつ配ることすら、できないのよ。スマホも家電もぜんぶつなぐ時代だもの、とっくに足りなくて、アジア太平洋地域なんて、2011年に新しい住所の在庫が切れちゃった。
ひかり:えーっ、住所が品切れ!? じゃあ、足りないあいだ、みんなどうしてたの!?
ことね:「NAT」って裏ワザでしのいでたの。一個の住所を、マンションのみんなで共有してね、玄関の管理人さんが「この郵便は301号室あてね」って仕分ける——そんなふうに、一個の住所を大勢で分け合ってたのよ。だましだまし、ね。
みずき:…で、その新しいIPv6ってやつだと、住所はいくつ作れるわけ?
ことね:……約340澗(かん)個。3のうしろに、ゼロが38個つく数よ。一人に何兆個の何兆倍を配っても、まだ余る。地球じゅうの砂粒ぜんぶに、一個ずつ住所をふっても、ぜんっぜん使い切れないくらい——(早口)
みずき:…はい、ことね先輩ストップ。桁の暴走、平常運転。…でもさ、その引っ越し、2012年から「使お、使お」って言われて、30年近くたって、やーっと半分でしょ。…ずいぶん、のんびりした宿題じゃん。
ことね:ふふ、否定はしないわ。でもね、これだけ大きな世界中の引っ越しが、誰も大ゴケせずに半分まで来た、っていうのが、すごいの。Googleの計測でちょうど50%、測り方の違うAPNICって団体だと42%だけど——どっちにしても、初めての折り返しなのよ。
ひなた:ふぁ〜…340澗。ひとりで、何兆個もお部屋がもらえるのです。ぜんぶに、おやつ隠せるのです。……でもね。こんなにすごいお引っ越しなのに、わたしたち、なんにも気づかなかったのです。いちばん上手なお引っ越しって、住んでる人が気づかないうちに、ぜんぶ終わってる、お引っ越しなのかもしれないのです。
まとめ:Googleの計測で、ネット利用のちょうど半分が、ついに新しい住所「IPv6」に。古いIPv4は約43億個で80億人の世界には足りず、NATでしのぎながら、30年かけてやっと折り返した。みずきの言うとおり気の長い宿題だけど、ひなたの言うとおり、住んでる人が気づかないうちに終わる引っ越しこそ、いちばん上手な引っ越しなのかもしれない。きみのスマホも、たぶんもう、新しい住所で動いている。