外国の人に「日本ってどんな国?」と聞かれて固まった——それ、いま日本じゅうで起きてる。東大・苅部直教授が説く、“いまの問い”を持って古典を読み直す「対話的な読書」
「外国の人に『日本って、どういう国なの?』と聞かれて、うまく答えられなかった」——そんな経験、ありませんか。実はいま、“日本とは何か”に関心を持つ人が増えていて、その背景を東大の苅部直(かるべ・ただし)教授がインタビューで語り、書評サイトBook Bangで紹介され話題になっている。教授いわく、関心の高まりは右傾化のような“お堅い”理由ではなく、もっと実務的なもの——グローバル化で外国人と接する機会が増え、「自分の国の文化や歴史を、うまく説明できない」と気づく人(とくにビジネスパーソン)が多いからだ。その一因として教授は学校教育の限界も指摘する。高校の必修「歴史総合」は政治・外交・経済の歴史が中心で、“思想”や“文化”は手薄になりがち。結果、多くの大人が「日本の思想や歴史の知識は中学生レベルのまま」国際交流に臨んでいる、と。教授の著書『「維新革命」への道』はさらに踏み込み、「黒船に脅されてしぶしぶ西洋を取り入れた(和魂洋才)」という通説に異議を唱える。荻生徂徠・本居宣長・福澤諭吉ら江戸〜明治の思想家を取り上げ、「江戸時代の時点で、思想の面ではすでに“文明化”が進んでいた」「伝統に足をつけたまま、西洋の“才”も“魂”も高く評価した、その積み重ねが近代化の成功につながった」と論じる。そのうえで教授は、「“日本が特殊だ”という言い方は、いまの若い世代にはピンとこない」とし、「19世紀日本の経験は、近代文明の長所と短所を見きわめ、良い部分をどう根づかせるか考え直すチャンス」だと説く。記事のタイトルが掲げる「対話的な読書」とは、昔をただ懐かしむのではなく、“いまの問い”を持って古典に問いかけながら読み直す——そんな学びの姿勢を指すのだろう。ひかり・ことね・みずき・ひなたの4人が掘る。
ひかり:うぅ……わたし、ちょっと落ち込んでるの。こないだ駅でね、外国の人に「日本って、どういう国なの?」って聞かれて……えっと、えっと、って固まっちゃって、何にも答えられなかったんだ……。住んでる国のこと、なのにっ……。
ことね:あー……それ、いま日本じゅうで起きてることみたい。実はね、ちょうどそういう話をした記事があるの。東大の苅部直先生のインタビュー。「“日本とは何か”に関心を持つ人が、最近すごく増えてる」って。しかもね、それって右とか左とか、お堅い理由じゃないの。きっかけは、ひかりと“まったく同じ”。グローバル化で外国の人と接する機会が増えて、「あれ、自分の国のこと、うまく説明できないぞ」って、みんな気づいちゃったの。
ひかり:えっ、わたしだけじゃないんだ!? よかったぁ……。でも、なんでなんだろ。学校で歴史、ちゃんと習ったのにな……。
ことね:そこも先生が指摘しててね。いまの高校の必修「歴史総合」って、政治や外交、経済の歴史が中心で、“思想”や“文化”は、どうしても手薄になりがちなんだって。だから先生いわく、多くの大人が「日本の思想や歴史の知識は、中学生レベルのまま」、国際交流の場に出ていっちゃってる、って。……ちょっと、耳が痛いでしょ。
みずき:…で。日本を説明できて、誰得なの。外国人に聞かれて固まったって、別に命まで取られるわけじゃ、ないでしょ。
ことね:それがね、みずき。ただの“雑学クイズ”の話じゃないの。苅部先生の本——『「維新革命」への道』——がおもしろくてね。ふつう、日本の近代化って「黒船に脅されて、しぶしぶ西洋を取り入れた(和魂洋才)」って習うでしょ。でも先生は、そこに異議を唱えるの。「江戸時代の時点で、もう“文明化”は思想の面でかなり進んでた」って。荻生徂徠とか本居宣長とか福澤諭吉とか、昔の人たちが、自分の伝統に足をつけたまま、西洋の“才”も“魂”も、ちゃんと高く評価してた——その積み重ねの結果が、近代化の成功だった、っていう見方なの。
みずき:…“押しつけられた”んじゃなくて、“自分で選んで取り込んだ”。……へえ。それ、ちょっと、見方が変わるな。
ことね:でしょ。先生はこうも言うの。「“日本が特殊だ”っていう言い方は、いまの若い人にはピンとこない」って。そのうえで——「19世紀の日本の経験は、近代の“いいところ”と“悪いところ”を見きわめて、良い部分をどう根づかせるか、考え直すチャンスだ」って。昔を、ただ懐かしむんじゃなくて、“いまの問い”を持って読み直す。タイトルにある「対話的な読書」って、たぶん、そういう——本に、こっちから問いかけながら読む、っていう姿勢のことなのよ。
ひなた:ふぁ〜……日本とは、何か……。あのね、わたしだったら、外国の人に、おにぎりを、にぎってあげるのです。「これが日本なのです」って。……だって、ことばで説明できなくても、いっしょに食べたら、わかることって、あるとおもうのです。……あ、でも、具は何にしよう。……うめぼし、すっぱくて、びっくりされちゃうかな。
ことね:……ひなた、それ、すごくいいかも。“日本とは何か”って、教科書を丸暗記して語ることじゃなくて、自分の手で握ったおにぎりを、誰かと分けることなのかもしれない。……うん。今度わたしも、ちゃんと言葉にできるように、苅部先生の本、読み直してみる。ひかり、いっしょに“学び直し”、する?
ひかり:するっ! ……あ、でも、その前にっ。ひなたの梅干しおにぎり、まず、わたしが味見してあげるねっ!
まとめ:東大の苅部直教授がインタビューで、「“日本とは何か”に関心を持つ人が増えている」背景を語る(Book Bang掲載)。理由は右傾化ではなく実務的——グローバル化で外国人に自国の文化・歴史を聞かれ「うまく説明できない」と気づく人が多いから。教授は、高校の必修「歴史総合」が政治・外交中心で思想・文化が手薄なため、大人も「中学生レベルの知識のまま」国際交流に臨みがちだと指摘。著書『「維新革命」への道』では、「黒船にしぶしぶ従った(和魂洋才)」という通説に異議を唱え、荻生徂徠・本居宣長・福澤諭吉らを挙げて「江戸時代にはすでに思想面で“文明化”が進み、伝統に立脚しつつ西洋の才も魂も評価した結果が近代化だった」と論じる。タイトルの「対話的な読書」は、昔を懐かしむのでなく“いまの問い”を持って古典を読み直す姿勢のこと。ひなた曰く、ことばで説明できなくても、おにぎりを握って一緒に食べたら、わかることがあるのです——「これが日本なのです」。