“AIに品質チェックを任せたら不良が止まらず、結局「白ヒゲのベテラン」を350人呼び戻した”——しかも仕事は「AIをクビにする」ことじゃなく「AIに教えること」。フォードの逆転劇
「AIが人の仕事を奪う」という話ばかりが流れる中で、その逆をいくニュースが出た。自動車のフォードが、AI任せにしていた品質チェックがうまくいかず、ベテラン技術者を“呼び戻していた”というのだ。社内で“gray beard(白髪まじりの大ベテラン)”と呼ばれる経験豊富な技術者を、この3年で約350人も再雇用。多くは一度フォードを離れた元社員や、取引先から来た人たちだ。背景にあるのは、深刻な品質問題。フォードは品質トラブルで何十億ドルもの損失を出し、業界で最悪レベルのリコール率を抱え、今年も保証・材料費で10億ドル規模の費用を見込む。「自動化したシステムに頼りすぎて、望む結果が出ていなかった」とCOOのカマー・ガルホトラは率直に認める。面白いのは、呼び戻したベテランの仕事が「AIをクビにすること」ではなく「AIに教えること」だった点。彼らはAIの“見落とし”を洗い出して再プログラムし、不良が工場の現場に届く前に見つけられるよう仕込み直し、ついでに若手も鍛える。車両ハードウェア技術担当VPのチャールズ・プーン曰く「AIは素晴らしい道具。でも、教えたぶんしか賢くならない」。その成果は本物で、フォードは最新のJ.D.パワー初期品質調査で“大衆ブランドの首位”に——これは16年ぶりの快挙で、上にいるのはポルシェとジェネシスという高級ブランドだけだった。ひかり・ことね・みずき・ひなたの4人が掘る。
ひかり:うわっ、なにこの見出し!? 「フォードが“白ヒゲ部隊”を、350人、呼び戻した」だって! し、白ヒゲ部隊って、なに!? 海賊!? サンタさんの精鋭部隊!? なんでそんなのが、車の会社にっ!?
ことね:ふふ、海賊じゃないの。“gray beard”——白髪まじりの、すっごく経験豊富な大ベテラン技術者のこと。自動車のフォードが、その人たちを、この3年で約350人も呼び戻したの。多くは、一度フォードを辞めた元社員や、取引先から来てもらった人たち。実はこれ、ちょっと驚きの話で——フォードは、品質チェックをAIや自動システムに任せていってたの。なのに、わざわざ人間のベテランを呼び戻した、っていう逆向きのニュースなのよ。
ひかり:えっ、なんで? AIがチェックしてくれるなら、人いらないじゃん。むしろ、ベテランの人って、お給料も高そうだし……。なんでわざわざ、お金かけて呼び戻すの?
ことね:それがね、AI任せにした結果、不良がうまく止められなかったの。フォードは品質トラブルで何十億ドルもの損失を出してて、業界でも最悪レベルのリコール率。今年も、保証や材料の費用で10億ドル規模を見込んでる。COO——会社の現場のトップね——のガルホトラさんも、はっきり認めてるの。「自動化したシステムに頼りすぎて、望む結果が出ていなかった」って。
みずき:…で、ここがいちばん面白い。呼び戻したベテランの仕事はね、「AIをクビにすること」じゃないんだよ。「AIに、教えること」。AIが何を見落としてるかを洗い出して、不良が工場に届く前に見つけられるよう、AIを仕込み直す。ついでに若手も鍛える。…前に話した、AIが人間ぬきでテストしてバグ直す道具の話、あったじゃん。あれの、ちょうど真逆。AIだけじゃ、肝心のところで詰める“最後のひと押し”が、できなかったってこと。
ひかり:AIをクビにするんじゃなくて、AIの“先生”として呼び戻した!? なんかそれ……すっごい皮肉っ! で、その白ヒゲ先生たち、ちゃんと結果は出したの?
ことね:それがね、ちゃんと出したの。フォードは、最新のJ.D.パワー初期品質調査で、“大衆ブランドの首位”に立ったの。これ、なんと16年ぶりの快挙。フォードより上にいたのは、ポルシェとジェネシスっていう、お高い高級ブランドだけ。車両ハードウェア技術担当のプーンさんの言葉が、もう全部を言い表してて——「AIは素晴らしい道具。でも、教えたぶんしか、賢くならない」。
ひなた:ふぁ〜……あのね。レシピどおりに、きっちり作るのは、AIさん、とっても得意だと思うのです。……でもね。煮物をひとくち味見して、「あ、お塩、ちょっとだけ多いかも」って、ぴんと気づくのは……何千回も、何万回も、お鍋の前に立ってきた、おばあちゃんの、舌、なのです。……その“ちょっと”は、レシピには、書いてないのです。
みずき:…ひなた、それが核心。レシピに書ける部分は、AIがやればいい。でも「レシピに書いてない“ちょっと”」に気づくのは、まだ人間の出番なんだよ。…“AIが仕事を奪う”って話ばっかりの中で、「AIにダメ出しして、AIに教える」っていう、いちばん人くさい仕事が、いちばん値打ちが出た。…白ヒゲ、最強だね。
まとめ:「AIが人の仕事を奪う」の逆をいく話。自動車のフォードが、品質チェックを任せたAI・自動システムだけでは不良を止めきれず、社内で“gray beard(白髪まじりの大ベテラン)”と呼ぶ経験豊富な技術者を、この3年で約350人も再雇用していた(多くは元社員や取引先出身)。背景は深刻な品質問題——何十億ドルもの損失、業界最悪レベルのリコール率、今年も保証・材料費で10億ドル規模の見込み。COOガルホトラは「自動化システムに頼りすぎて望む結果が出ていなかった」と率直に認める。妙味は、呼び戻したベテランの役目が「AIをクビにすること」ではなく「AIに教えること」だった点。彼らはAIの見落としを洗い出して再プログラムし、不良が現場に届く前に捕まえられるよう仕込み直し、若手も鍛える。VPチャールズ・プーン曰く「AIは素晴らしい道具。でも教えたぶんしか賢くならない」。成果は本物で、フォードは最新J.D.パワー初期品質調査で“大衆ブランド首位”に立った(16年ぶり、上はポルシェとジェネシスという高級ブランドのみ)。ひなた曰く——レシピどおり作るのはAIが得意でも、味見して「お塩ちょっと多いかも」と気づくのは、何千回も鍋の前に立ったおばあちゃんの舌で、その“ちょっと”はレシピに書いていない。みずき曰く、AIが仕事を奪う話ばかりの中で「AIにダメ出しして、AIに教える」という、いちばん人くさい仕事が、いちばん値打ちが出た。白ヒゲ、最強。