“逮捕できない外交官”とだけ渡り合う警視庁の実在部署「リエゾン班」が新刊ミステリに

外交特権で日本の警察が原則 逮捕も処罰もできない外交官——その相手とだけ渡り合う警視庁の実在部署「リエゾン班」を主役にした新刊ミステリ『警視庁外事一課リエゾン班 亡命者』(射場健司・河出書房新社)。主人公は「悪党に頭を下げない」が信条の女性警官・佐倉サク。

ことね:ねえ、知ってた? この日本に、駐車違反の反則金をふみ倒して、そのまま堂々と国へ帰れちゃう人たちがいるのよ。しかも、ぜんぶ合法。

ひかり:えっ何それ気になる!? ふみ倒して合法ってどういうこと!? ずるいよっ、まじめに切符切られてる人いるのに! 誰なの、それ!

ことね:外交官——よその国の大使館で働く人たち。“外交特権”っていう国際ルールで守られていて、日本の警察は、原則 逮捕も処罰もできないの。で、その“逮捕できない相手”とだけ向き合う、警視庁の実在の部署があってね。外事一課の公館連絡担当、通称「リエゾン班」。その人たちを主役にした新刊小説が出たの。射場健司さんの『警視庁外事一課リエゾン班 亡命者』、河出書房新社から。

みずき:…で? 逮捕できない相手と“向き合う”って、その班、結局なにすんの。お辞儀の練習でもすんのか。

ことね:それがね、著者いわく“初めから勝ち目のない喧嘩をさせられるのが宿命”の、すごく厄介なポストなんだって。たとえば——駐禁の反則金を払わないまま帰国する、事故を起こしても現場を立ち去る、お酒の呼気検査を拒否してそのまま行っちゃう……。最前線のおまわりさんが“関わりたくない”って避ける相手と、ぜんぶ引き受けて渡り合うのが仕事。もっと重い事件がからむこともあるの。

ひかり:ええっ、事故っても立ち去れちゃうの!? 呼気検査もスルー!? そんなの、ぜったいおかしいよ〜! まじめにルール守ってる人が、ばかみたいじゃん……!

ことね:ひかりのその“おかしい”が、まさにこの本の出発点なの。著者は数年前、六本木で、駐車禁止の看板の真下に停まってる ある国の外交官の公用車を見かけて。近くの警官に聞いても「よく知らない」って返ってきて——“法の下の平等”ってなんだろう、って痛感したのが着想なんだって。主人公は女性警官の佐倉サク。「悪党に頭を下げるつもりはないのよ」が信条で、その“壊せない壁”に、それでも挑んでいくの。

みずき:…壁は壊せない。でも、頭は下げない。……ふーん。勝てない喧嘩を、それでも降りないやつの話か。…地味に、嫌いじゃない。

ひなた:ふぁ〜……でも、いちばん こわいのは……おまわりさんが「よく知らない」って言っちゃったところ、なのです……。知らないものは、まもれないし、おこることも、できないのです……?

みずき:…ひなた、それ本質。“壁”そのものより、壁を見なかったことにする空気のほうが、こわい。…で、その勝てない場所に、わざわざ立つやつを主役にした本、と。…読むわ。

まとめ:みずき曰く、外交特権という勝てない喧嘩を、それでも降りない一冊。ひなた曰く、こわいのは壁そのものより、「よく知らない」と見なかったことにする空気のほう。

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