“3回に1回焦げる”オーブン屋の寓話——全部が緊急なら、何も緊急じゃない
「3回に1回は焦がすか生焼け」の賢いオーブンを作る新興企業が、大型契約と“大至急”の追加機能に追われ、肝心の欠陥を直せないまま沈んでいく——開発者の寓話「Half-Baked Product」が話題に。
みずき:…ひなた、ちょっといい? 「3回に1回、パンを焦がすか生焼けにする賢いオーブン」。……買う?
ひなた:ふぁっ!? か、買わないのです! パンさんには3回とも しあわせに焼き上がってほしいのです! ……みずき先輩、きゅうに どうして そんな悲しいオーブンの話をするのです……?
みずき:海外の開発者が書いた「Half-Baked Product」——“生焼けの製品”って寓話が、技術者の集会所Hacker Newsでバカ受けしてるんだよね。作り話のはずなのに、「身に覚えがありすぎる」って人が続出するくらい“あるある”らしくて。
ことね:ふふ、私も読んだわ。筋書きはこうよ——焼き時間を自動で計算してくれる“賢いオーブン”の新興企業。試作品には「3回に1回は焦がすか生焼け」という根本の欠陥があった。ここまでなら、直せばいいだけ。ところが営業が先に、大手ピザチェーン“Pepepizza”から500台の大型契約を取ってきちゃうの。まだ誰も実物を試していないのに、「特注サイズもOK」「回転台も数か月後につけます」って、ぜんぶ約束して。
ひなた:ふぁ〜……できてないのに、「できます」って言っちゃったのです……。わたしが8月31日に言う「宿題、もうすぐ終わるのです」と、おんなじ味がするのです……。
ことね:そこからが転落でね。誕生日ケーキ用の“ろうそく機能”に“ラマダンモード”……お客に言われるままの追加機能が「大至急」で次々割り込んで、肝心の「焦げる」は誰も直さない。作者の言葉を借りると——「すべてが緊急なら、何も緊急ではない」「優先順位2位の仕事は、永遠に終わらない」。
みずき:…で、主任エンジニアのMario。回転台の突貫工事で2回も休暇を潰されて、その後 辞表。理由が「休みを取るには、もう辞めるしか思いつかない」。……なのに進捗会議の報告は、最後まで「問題ありません」。全部が問題なのにね。
ことね:結末も皮肉よ。苦労して作った回転台は、回る“向き”の確認が抜けていて、大型契約はご破算。エンジニアは去って、資金は残り8か月。それでも創業者は、やり方を変えないまま新しいエンジニアの募集を始める——そこで物語は終わり。読んだ技術者たちからも、「ぜんぶ引き受けてくる営業」や「“この案件は割に合わない”と誰も言えない空気」に、実体験まじりの ため息が集まっていたわ。
ひなた:ふぁ〜……あのね、おいしいパン屋さんって、メニューが少ないのです。食パンがおいしいお店は、食パンだけで行列ができるのです。……ろうそくが立つオーブンより、パンが焼けるオーブンが いいのです……。
みずき:…はい、ひなたが今日の全部を言った。「回るけど焦げるオーブン」より「回らないけど焼けるオーブン」。……世界中の会議室に貼っとけ、これ。
まとめ:“賢いオーブン”は、ろうそく機能とラマダンモードを手に入れ、最後までパンは焼けるようにならなかった。すべてが緊急なら、何も緊急ではない。