Valve“売らないので作り方どうぞ”——非売品の電子ペーパーパネルを無料公開
新型ゲーム機Steam Machineの紹介映像に映っていた電子ペーパー製フロントパネルは、じつは非売品だった。Valveは製品化するかわりに、設計図から組立解説動画まで一式を“Inkterface”として無料公開した。
ことね:ねえ、みんな。今日は先にこの一文だけ置いておくわね——“メーカー公式が、非売品の作り方を無料で配り始めた”。
ひかり:えっ、なになに、それめっちゃ気になる! 売らないのにレシピだけくれるの!? ラーメン屋さんが「スープはお出ししません。かわりに鍋と材料表をどうぞ」って言ってるようなものじゃん!
ことね:まさにそういう話よ。Valveの新型ゲーム機Steam Machine——いま予約した人に購入確認のメールが届き始めている、あの箱ね。紹介映像では、本体の前面に電子ペーパーの小さなパネルが付いていて、温度なんかが表示されていたの。ところがあれ、映像用の試作品で売り物じゃなかった。
ひかり:ええっ、じゃあ映像は“買えない服”でランウェイを歩いてたってこと!? あれ見て「この顔がいい!」って思った人はどうなるの!
ことね:そこで冒頭の発表よ。欲しがる声は多いし、周辺機器メーカーが自作を検討し始めた。それでValveは“Inkterface”という名前で、設計図・3Dプリント用データ・中のソフト・部品表・組み立ての解説動画まで、公式サイトにまとめて無料公開したの。ライセンスはMITといって、つまり改造も販売も自由という太っ腹な条件ね。
みずき:…で、作ると何ができて、いくらかかるの。そこを聞かないと評価できない。
ことね:表示できるのはCPUやGPUの温度、ファンの速さ、それに好きな画像。本体とはBluetoothでつながるわ。部品は通販で買える電子工作ボードと5.83インチの電子ペーパー、ネジ13本に磁石4個。しめて90ドルほど——3Dプリント代を入れると100ドルは超えるわね。
みずき:1万円ちょっと払って、自分で組み立てて、ご褒美が“本体の温度が見える”。……で、それ誰得? 温度、そんなに見たい?
ひかり:えー、いいじゃん! ほら、最近この部室、車の画面の取り合いでしょ、スマホに鍵をかける話でしょ、ディスク絶滅でしょ……“買っても自分のものにならない”話ばっかりだったんだよ? 「箱の顔は好きに改造していいよ」って公式が言ってくれるの、ちょっとうれしくない!?
みずき:……まあ。誰得か分からないものを、損得の外で作らせてくれる。世間ではそれを趣味って呼ぶらしいし。……ちょっとだけ、いいと思う。
まとめ:“売りません”の続きが“じゃあ作り方をぜんぶどうぞ”。囲い込みの話が続いた部室に、90ドルの自作パネルがやけにまぶしく見えた。