名曲『命に嫌われている。』作者、自ら純文学に
ボカロP・カンザキイオリが、自身最大のヒット曲「命に嫌われている。」を作者みずから小説化し、6月に刊行。2011年の被災体験をもとにした純文学作品として書き上げた。
ひかり:えっ、「命に嫌われている。」ってあの曲だよね!? あれが小説になったの!? どういうこと!?
ことね:正確には、あの曲を作ったカンザキイオリさん本人が書いた小説なの。もとは2017年のボーカロイド曲で、YouTubeで何億回も再生された代表曲。それを6月に、河出書房新社から一冊の本にしたのよ。
みずき:…ボカロPが小説、しかも純文学。けっこうな畑違いじゃない?
ことね:それがね、本人いわく遠野遥さんの『破局』を読んで純文学にハマったんですって。「純文学は読者に媚びない。芸術って名目で、何でも自由に書ける」って。当初は3作目の予定だったのに、書いてるうちにどうしても純文学がやりたくなって、順番を入れ替えて4作目にしたくらい。
ひかり:え、「媚びない」ってどういうこと? わかりやすく面白くしなくていい、みたいな話?
ことね:ざっくり言うとね、読者ウケを最優先にせず、自分の世界観をそのまま突き詰めていい、って発想。実際この小説、章を「片」って数えて、各章のタイトルに「七十二候」っていう昔の細かい季節の呼び名を使ってて、時間の流れもあえて前後させてるの。構成からして攻めてるのよ。
みずき:…名曲の看板で人を呼んで、中身は思いっきり自分のやりたい文学、か。 …その振り切り方は、嫌いじゃないわ。
ひなた:ふぁ〜……3分で終わる歌を、何年もかけて一冊に書き直すの、すごく手間なのです……。でも、それだけ「ちゃんと伝えたい」ことが残ってたってことなのです……ね。
ことね:うん、本人も「本当を伝えるための創作」って言ってるの。累計はもう48万部を超えてて、8月には次の新作も控えてる。曲から入って小説にたどり着く人が、どんどん増えてるのよ。
まとめ:3分で刺さる曲を、あえて一冊かけて書き直す。「媚びない」は、遠回りを選ぶ覚悟の別名なのかもしれない。