芥川賞候補に“VRでゾンビ回収”の純文学
第175回芥川賞の候補5作が出そろい、7月15日に受賞作が決まる。AIで職を失った主人公がVRゲームでゾンビの死体を回収する小砂川チト「ゾンビ回収婦」など、現代的な設定が並ぶ。
ひかり:芥川賞って、いちばんカタくて難しい小説の賞……だと思ってたんだけど。今年の候補、AIでクビになった人がVRゲームの中でゾンビの死体を拾うバイトする話、って書いてあるの。ねえ、私、読む記事まちがえた!?
ことね:合ってるわよ、それで。あす7月15日に受賞作が決まる第175回芥川賞、その候補5作のひとつ。小砂川チトさんの「ゾンビ回収婦」ね。AIに仕事を奪われた主人公がVRの終末世界に入り込んで、ホテルでゾンビの死体を回収する仕事に就く……という設定なの。
みずき:…純文学の最高峰の候補に、ゾンビ回収のバイト。字面の温度差で風邪ひくわよ。
ことね:設定は突飛だけど、描いてるのは“AIに居場所を奪われた人が、仮想空間の底で誰と心を通わせるか”なの。ちゃんと今っぽいテーマよ。ほかの候補も現代的でね——八木詠美さんの「アンチ・グッドモーニング」は、8か月も眠れない広報部員が、働きすぎて現実感をなくしていく話。“不眠症的リアリズム”なんて評されてるの。
ひかり:えっ、片方はVRでゾンビ、もう片方は眠れない会社員!? 候補の振れ幅、ありすぎない!?
ことね:残り3つもね。鈴木涼美さんの「悪い血」、仁科斂さんの「丹心」、村司侑さんの「ソリティアおじさんがいた頃」。ぜんぶ文芸誌に載った作品から選ばれてる。あすの選考会で決まるけど、受賞は1作のことも、ゼロのことも、複数のこともあるのよ。
みずき:…で、どれが獲るの、って聞きたいところだけど。こういうの、下馬評ほど当たらないのよね。
ひかり:私、タイトルだけでもう気になっちゃうもん。「ソリティアおじさんがいた頃」って、なにそれ、ちょっと切ない予感がするよっ。
ひなた:ふぁ〜……眠れない人のお話に、ゾンビのお話に、おじさんが“いた頃”のお話……。ぜんぶ、“もう戻れないもの”を見てるお話な気がするのです……。あ、でも、受賞した人はきっとおいしいお寿司たべるのです。
まとめ:VRのゾンビも、眠れない会社員も、いなくなったおじさんも、行き先は同じ選考会。あすの夜、5つのうちのどれかが“文学”になる。