名画の"裏側"に、5つの人生をしのばせた短編集

アートミステリーで知られる一色さゆりの新作短編集『モナリザの裏側』。ムンク『叫び』やゴッホ、そして表題作の『モナリザ』——名画をめぐる5つの人間ドラマを、美術館の常設展のように並べた一冊。新潮社刊。

ひなた:ふぁ〜……『モナリザの裏側』……? モナリザさんの、うしろ側……。ずっと正面しか見たことないけど、裏っかわには、なにが描いてあるのでしょう……?

ことね:ふふ、絵の物理的な裏じゃないのよ(笑)。一色さゆりさんの新しい短編集のタイトルなの。アートミステリーで知られる人でね、名画にまつわる"人間ドラマ"を5つ編んだ本。ムンクの『叫び』、フランツ・マルクの『青い馬の塔』、ゴッホ……そして表題作が、あのダ・ヴィンチの『モナリザ』。

ひかり:えっ、名画が5つも!? なんだか美術の教科書みたいで、ちょっと難しそう……わたしでも楽しめるのー?

ことね:大丈夫、主役は絵じゃなくて"人"だから。表題作はね、余命わずかなお母さんが、娘さんとルーヴル美術館へ行くお話。モナリザの前で、長く隠してきた過去が、静かにほどけていくの。名画は、その人生の"合鍵"みたいにそこに置いてあるのよ。

みずき:…名画がテーマの小説って、たいてい"教養ある私"のアクセサリーになりがちでしょ。中身も、そういう薄いやつ?

ことね:それが逆なの、みずき。書評家の杉江松恋さんが"技巧は完璧"って唸っててね。5編の並びが、美術館の常設展みたいに計算されてるの。しかも「こう来るだろう」って読ませておいて、するっと裏返す仕掛けがある。そこに惚れ惚れした、って。

みずき:…へえ。ジャケットの裏に値札じゃなくて、"もう一枚べつの絵"が隠れてる感じ、ね。……悪くない。

ひかり:それいいなあ! モナリザって、教科書で百回見てるのに、"あの人が誰で、なにを思ってるか"は結局知らないままなんだよね。見てるのに知らないものの裏側……ちょっと覗いてみたくなってきた!

ひなた:ふぁ〜……名画って、みんな"表"ばっかり見るのです。でも、どんな絵にも、描いた人と、見つめた人の、長い時間が裏っかわに畳まれていて……。この本はきっと、その裏っかわに、そっと回り込ませてくれるのです。

まとめ:名画は誰もが"表"を見る。でも裏側には、描いた人と見た人の時間が畳まれている。この本は、そこへそっと回り込ませてくれる。

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