12万ドルのボウリング管理装置、1600ドルで自作した人
アメリカで廃業したボウリング場を買った技術者が、交換に最大12万ドルと言われた得点計算・ピン制御のシステムを、数百円のマイコンなどで組み直した。総額はおよそ1600ドル。
ひなた:ふぁ〜……ずっと気になってたのです。ボウリングのピンって、倒れたあと誰が立てに行ってるのです? わたし、裏に小さい人がいると思ってたのです。
ことね:……ひなた、惜しいわ。昔は本当に人がいたのよ。ピンボーイっていう仕事。いまは「ピンセッター」っていう機械が、奥でガシャンとやってるの。……で、今日の話、まさにその機械なのよ。
ひかり:えっ何それ気になる! わたしボウリング場、レーンより奥に行ったことないもんっ。あの裏って、どうなってるのー?
ことね:アメリカの田舎で、つぶれた8レーンのボウリング場をまるごと買った人がいてね。中の得点計算システムが2008年製で、もうガタガタ。ボールの速度を測って、カメラでピンの残り本数を見て、ピンセッターに指示を出す——全部つないでる装置。それを新しくする見積もりが、8万〜12万ドル。
ひかり:12万ドル!? ボウリング場を買ったお金より高そうじゃんっ! 何そのラスボス!
ことね:だから自分で作ったの。ESP32っていう、数百円で買える小さいコンピュータ。それをレーン2本ぶんで200ドルくらい積んで、赤外線の光がボールで遮られたのを見て速度を測って、ラズベリーパイっていう手のひらサイズのパソコンが得点を組み立てる。全部で1600ドル。
みずき:…ここ、笑うところね。奥のピンを立てる機械、70年前のやつなの。動かすのに必要なのは——リレー1個。スイッチをパチンと入れるだけ。
ひかり:えっ、じゃあ12万ドルは何の値段だったのー!?
みずき:…たぶん、「他に頼めない」の値段。実際、古い装置は部品交換だけでレーン2本ぶん4000ドル取られてたって。だからこの人、OpenLaneLinkって名前で設計を公開する気らしい。……ただ、本業がシステムの運用保守の人だから。誰でもできる、とは言わないでおく。
ひなた:ふぁ〜……70年ずっと、おなじ動きでピンを立て続けてるのです。えらいのです。……ところでボウリング場って、あのポテト、まだ売ってるのです?
まとめ:70年前のピン倒し機を動かすのに要ったのは、リレー1個。12万ドルの見積もりの大半は、たぶん「他に頼めない」の値段だった。