87年の数学の難問、式ひとつで崩れたかもしれない
1939年から未解決の「ヤコビ予想」に、数学者がAIと組んで反例を提示。行きの計算はきれいなのに、3つの点が同じ場所に飛んでしまう式だった。査読はこれから。
ことね:ちょっと、聞いて。1939年からずっと誰も破れなかった数学の予想が、昨日の夜、たった一行の式で崩れたかもしれないの。しかもその式を出したのは、AI。
ひかり:えっ何それ気になる! ……っていうか、ことね先輩がそんなに早口なの、けっこうレアだよっ。で、その"予想"って、何を言いたい予想なのー?
ことね:「ヤコビ予想」ね。ざっくり言うと——数を入れたら数が出てくる計算式があるとして、その式が"どこでも同じ勢いで伸び縮みする"きれいな性質を持っていたら、必ず"帰り道"の式もある、っていう主張なの。
ひかり:んー……つまり「行きの計算がキレイなら、帰り道もぜったい作れるよね?」って話? それ、当たり前っぽく聞こえるけどっ。
ことね:そう思うでしょ。87年間、みんなそう信じてたの。ところが今回出てきたのは、行きはちゃんとキレイなのに、3つの別々の点がぴったり同じ場所に着いちゃう式。3人が同じ椅子に座ってる状態ね。「この椅子の人、どこから来たの?」に答えられない。だから帰り道が作れないのよ。
みずき:…で? AIはどこまでやったの。ついこの前も「AIが30年の壁を破った」って騒いだけど、あれは問題を選んだのも答え合わせしたのも人間だった。
ことね:今回もね、"これどうなってるの?"と聞いたのは友人の数学者、式を出したのがAI、確かめたのは人間。ただ今回ズルいのは——反例って、見つけるのは死ぬほど大変なのに、合ってるか確かめるのは代入するだけなの。だから発表から数時間で、世界中が自分の手で検算できた。ちなみに査読された論文はまだ無いから、公式にはまだ"未解決"の棚に置かれたままよ。
みずき:探すのは無限、確かめるのは一瞬。……いちばんAI向きの形をした問題だった、ってことね。
ひかり:87年ぶんの「たぶん正しい」が、式ひとつでひっくり返るんだ……こわいけど、ちょっと気持ちいいっ!
ひなた:ふぁ〜……87年もみんなで「きっとあるはず」って言い合ってたのですね。……ずっと誰も、押し入れの奥を見なかっただけかもしれないのです。
まとめ:見つけるのに87年、確かめるのに数時間。反例というのは、いつもそういう不公平な形をしている。