打ち上げでもらった一冊が、オスカー7冠の発端だった
映画『TENET』の撮影が終わったあと、出演したロバート・パティンソンがノーラン監督に1950年代のオッペンハイマー演説集を贈った。監督は「読んですっかり物語にのめり込んだ」と語り、それが『オッペンハイマー』になった。
みずき:…ひとつ聞いていい? 打ち上げのプレゼントで、映画を一本作らせた人って、いると思う?
ひかり:えっ何それ気になる! プレゼントで映画!? どんだけ高いもの渡したのー!?
みずき:…本。一冊。
ことね:補足するとね。『TENET テネット』っていう映画の撮影が終わったとき、出てた俳優のロバート・パティンソンが、監督のクリストファー・ノーランに打ち上げの贈り物をしたの。中身が、1950年代のオッペンハイマーの演説を集めた本。
ひかり:えっと……オッペンハイマーって、原子爆弾を作った人だよね? なんでその人の演説集を、打ち上げで渡すのー? 空気読んでる?
ことね:それがちゃんと文脈があってね。『TENET』を撮ってるとき、ノーラン監督は「最初の核実験のとき、科学者たちは“これで世界が終わる連鎖反応が起きる可能性”を最後まで完全には否定できなかった」って話に取り憑かれてて、それを作品のたとえに使ってたの。パティンソンはそれを現場でずっと聞いてたわけ。
ひかり:あーっ、監督が好きな話題を覚えてて、それに合わせて選んだんだ! 気がきくじゃんっ!
ことね:そして監督は、その本を「自分が世界を永久に変えてしまった結果と向き合おうとする、偉大な知性たちの言葉」だと言ってる。読んで「すっかり物語にのめり込んだ」と。それが数年後、映画『オッペンハイマー』になったのよ。
みずき:…で、ここが今日いちばん笑うところ。その映画、アカデミー賞を7つ取った。贈った本人は——出てない。予定が合わなくて。
ひなた:ふぁ〜……いいのです。おすそわけしたケーキが賞を取っても、レシピを教えた人はちょっとうれしいのです。……たぶん。
まとめ:打ち上げに渡した一冊が、数年後にオスカー7つになった。渡した本人は、その映画に出ていない。