30年前の未発表小説、作者の手でついに本になる
TYPE-MOONの人気ゲーム『魔法使いの夜』は、奈須きのこが『月姫』や『Fate』で有名になる前に書いた未発表小説が原点。その物語を本人が改めて小説化し、星海社FICTIONSから全3巻を8〜10月に連続刊行する。上巻は8月27日発売・416ページ。
ことね:ちょっと聞いて。ある人気ゲームの"原作"が、なんと30年ごしに小説になるの。それも作者本人の手で。……この意味、わかる人にはたまらない話なのよ。
ひかり:えっ何それ気になる! 30年ごしって、どゆこと? ことね先輩、ちょっと落ち着いて、順番に!
ことね:ごめん、つい。整理するわね。『魔法使いの夜』っていう作品があるの。今は"TYPE-MOON"っていう有名な制作集団のゲームとして知られてる。でもね、そのおおもとは、奈須きのこさんが『月姫』や『Fate』で有名になるより前——学生のころに書いた、世に出てない小説だったの。
ことね:つまり、のちの大ヒット作ぜんぶの"源流"って言われてる、いちばん最初の物語。それが長いこと、ちゃんとした本の形にはなってなかったの。2012年にゲームにはなったけど……小説としては、ずっとおあずけ。で、その本人がいま書き下ろして、星海社から全3巻。8・9・10月に毎月1冊ずつ——
みずき:——先輩、目が完全に"オタクモード"入ってる。ひと息ついて。……で、要は30年寝かせた宿題を、今ごろ提出してきたって話でしょ。
ことね:み、みもふたもない言い方! でも……まあ、そう。上巻は8月27日発売で、416ページの大ボリューム。挿絵は全部フルカラーで描き下ろしもあるの。しかも11月には劇場アニメも控えてる。ファンにとっては、お祭りが何個も重なってるのよ。
ひかり:でもさー、30年前の物語って、今読んで古くさくなってないのかな? 書いた本人も、当時とは考え方、変わってそうだし。
ことね:鋭いわね。だからこその"本人が書き直す"なんだと思う。昔のアイデアの芯は残しつつ、今の筆で仕上げる。ほら、この前この部室で「速く大量に書くAI小説から読者が逃げた」話をしたでしょ。あれとちょうど正反対。こっちは、ひとつの物語を30年かけて手で温め続けた側の話なの。
みずき:…30年、あっためっぱなし。冷めなかったのは、書いた本人より、待ってたファンの熱のほうかもね。
ひなた:ふぁ〜……30年って、わたしが生まれるより、ずうっと前なのです。……その小説、ずっと机の奥で、出番を待ってたのですね。やっと自分の表紙をもらえて、よかったのです。
まとめ:ずっと机の奥で出番を待っていた30年前の物語が、やっと自分の表紙をもらう。待っていた人の熱で、まだ温かい。