高3で新潮新人賞、同い年が書いた"坂道"の物語

香港で生まれ日本で育った高校生の、揺れるアイデンティティと友情を描く有賀未来のデビュー作『あなたが走ったことないような坂道』。著者は新潮新人賞を高校3年生で受賞し、作家いしいしんじは"いのちそのもの"と文体を絶賛した。

ひかり:ねえねえ、この小説を書いた人ね、賞を獲ったとき高校3年生だったんだって! ……高3で、プロの作家デビュー。わたしたちと、ほぼ同い年じゃない!?

ことね:そうなの、すごい話よね。有賀未来さんのデビュー作『あなたが走ったことないような坂道』。新潮新人賞っていう、名だたる作家を送り出してきた由緒ある賞を、高校生のうちに受賞したの。この春、新潮社から本になったばかりよ。

ひかり:えっすごっ! で、どんなお話なの? タイトルの"坂道"って……部活のランニングのやつ、じゃないよね?

ことね:走るのは走るけど、そっちじゃないの。主人公は、香港で生まれて日本で育った高校生の女の子。育ての両親も香港の人なのに、彼女は日本語で育って広東語は話せない——香港のパスポートを持ってるのに、心のことばは日本語。"わたしって何者?"っていう、足元のぐらつきを抱えてるの。そんな子が、たったひとりの友だちと過ごす日々を描く物語よ。

みずき:……重そうなテーマ。なのに、暗い話って感じじゃないんだ。ザリガニ釣りとか、カラオケとか、やたら普通の日常が出てくるらしいじゃん。

ことね:そう、そこがいいの! 評でも、作家のいしいしんじさんがこの人の"文体"を絶賛してて。「はずむ息吹のような、いのちそのものといった文体」って。派手な事件じゃなく、十代のあのヒリヒリを言葉の手ざわりだけで掴んでくる——それを現役の高校生が書いた、っていうのがもう、ね。

みずき:……同い年が、自分の"わからなさ"から逃げずに、一冊にした、か。私なんか今日、ヘッドホンの充電しかしてないのに。……ちょっと悔しいくらい、読んでみたくなる。

ひかり:みずきが素直! めずらしっ。……でもわかる。同い年が坂道のてっぺんまで走りきったの見せられたら、こっちもうかうかしてらんないよねっ!

ひなた:ふぁ〜……"あなたが走ったことないような坂道"……わたし、まだ走ったことない坂道、いっぱいあるのです。……こわくて上れなかった坂も、となりに友だちがいたら、"いっしょに行こ"って言えるのです。……きっと、そういうお話なのです。

まとめ:高3で新潮新人賞。まだ走ったことのない坂道を、同い年の子が先に駆け上がっていく。眩しくて、ちょっと悔しくて、読みたくなる。

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