手で字を書くと頭にいい、SF作家が語る"紙とペン"

『スノウ・クラッシュ』で知られるSF作家ニール・スティーヴンスンが、手書きの効能を綴った文章が話題。手を動かしながら考えると脳の広い範囲が働き、記憶や学びに効く——万年筆と紙で25年書いてきた人の実感つき。

ひかり:「手で字を書くと、頭にいい」——ねえ、これほんとなのっ? わたし最近、なんでもキーボードで、ペンなんて自分の名前を書くときくらいしか握ってないんだけど……!

ことね:言い出したのは、『スノウ・クラッシュ』なんかで知られるSF作家、ニール・スティーヴンスンさん。25年、万年筆と紙で小説を書いてきた人なの。手書きって、指先だけじゃなく腕ぜんぶを連動させて動かしながら、同時に頭で中身も考えるでしょ。だから脳のあちこちがいっぺんに働く——タイピングより広く脳を使う、っていう研究があるのよ。

ひかり:えー、書くって、ただ手を動かすだけじゃないんだ? キーボードで打つのと、そんなに違うものなの?

ことね:違うのよ。文字の間隔をどうとるか、線をどうつなげるか、"t"の横棒や"i"の点をどこに打つか——書いてるあいだじゅう、こまかい判断をずーっと解き続けてるの。その"手を動かしながら考える"が、抽象的な思考と溶け合って、記憶や学びに効くんだって。……ちなみに彼、大長編『バロック・サイクル』の手書き原稿、積み上げたら42インチ——1メートル超えらしいわよ。

みずき:…で? 効率でいったら、タイピングの圧勝でしょ。速いし、消せるし、あとで検索もできる。わざわざ遅くて、間違えたら書き直しの紙に戻るって、…で、それ誰得なの。

ことね:それがね、その"遅くて手がかかる"のが、むしろ効いてるって話なの。スティーヴンスンさんのこだわりも徹底しててね——鉛筆と安いボールペンは力が要るからダメ、ガラスの上をつるつる滑るスタイラスもダメ。ペン先には"ちょっとした摩擦"があったほうがいい、サッカー選手が芝の抵抗を感じながら走るのと同じ、って。紙は綿が25%以上のいいものを、って言うくらいなの。

みずき:…摩擦がいい、ねえ。…まあ、スルスル進みすぎると、手も頭も何も引っかからずに素通りする、ってのは、ちょっとわかる。…あと、書き心地にこだわるやつは、たいてい続く。道具に金かけると、やめるのがもったいなくなるからね。

ひかり:たしかにっ! お気に入りのペンだと、書きたくなるもんね! ……よし、わたし帰りに文房具屋さん寄る! ……あ、でもその前に、"書きたいこと"を思いつかないと、ペンだけあってもだった……。

みずき:…そこだよ。道具の前に、書きたい一行があるかどうか。…ま、25年ずっと書いて、それでも手を痛めたことないっていうあの人が言うんだから、続けたやつの勝ちなんでしょ。……ノート一冊なら、付き合うけど。

まとめ:紙とペンが偉いんじゃない。手を動かしながら考えた時間が、頭に残る。……まず、書きたい一行から。

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