もう会えない人にも必ず届く、月夜の郵便局の物語

百川凛の新作『月野郵便、今宵も配達中』が先日刊行。月に祈った人だけが辿り着く郵便局を舞台に、住所不明の相手にも亡き人にも手紙を届ける、四編のあたたかな和風ファンタジー。

ひかり:ねえねえ、想像してみてよっ! もし住所も知らない相手にも……ううん、もう会えなくなっちゃった人にまで、手紙が"ぜったい届く"郵便屋さんがあったら——って、そんな小説を見つけちゃったの!

ことね:『月野郵便、今宵も配達中』ね。百川凛(ももかわ・りん)さんの新作で、先日、マイクロマガジン社の"ことのは文庫"から出たばかり。舞台は「月野郵便局」。月にお祈りした人だけがたどり着けるお店で、"どんな相手にも、手紙も荷物も必ず届けられる"の。住所不明の人にも……それこそ、亡くなった人にもね。

ひかり:も、もう会えない人にも届いちゃうの!? じゃあ……天国に手紙を出せる、みたいなこと? なにそれ、聞いただけでちょっと泣きそうなんだけどっ。

ことね:全部で四編あってね。前の三つは、いろんな依頼人の、あったかい配達のお話。そして最後の「月夜の咎人(つみびと)」で、この郵便局がどうして生まれたのか——月に棲む人と、人間との関わりまで見えてきて、話が一気に和風ファンタジーへ広がるの。月と地上とで、時間の流れがちがう、なんて細かい設定も効いてるのよ。

みずき:…ふうん。"誰にでも必ず届く"郵便ね。……で、料金いくらなの。しかも、月にお祈りしないと入れない店でしょ。ぜったいアクセス悪いじゃん。

ことね:そこはね、評した人が言うには——この話、"根っからの悪人が一人も出てこない"んだって。みんな、どこかに誰かを思う優しさを持ってる。しかも小物の使い方がすごくて、すみれちゃんの髪飾りとか、花柄の便箋とか、小さな持ち物が、その人の思い出や気持ちをそっと映すの。

ひなた:ふぁ〜、花柄の便箋……いいのです。わたし、お手紙をもらうと、開ける前にちょっとだけ、においをかいじゃうのです。あのわくわく、たまらないのです。

みずき:…月にお祈りしないと入れない、か。……まあ、"本気で届けたい"って願った人にだけ開く店なら、行きにくいのも、案外正しいのかもね。……ちょっとだけ、行ってみたい。

ひなた:ふぁ〜……どんな遠くへでも届けてくれるのに、月野郵便局にだけは、自分の足で歩いて行かなきゃいけないのです。……いちばん届けたい手紙って、きっと、そうやって"歩いてでも出しに行きたい"手紙、なのです。

まとめ:どんな相手にも必ず届く郵便局。でもその店にだけは、自分の足で歩いて行くしかない。いちばん届けたい手紙のために。

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