ちいかわの映画に、横溝正史と同じ仕掛けがある
ミステリ評論家の千街晶之が『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』を論じた。言葉の意味の取り違えで観客を誘導する手口が横溝正史『獄門島』に通じ、真相にたどり着いたちいかわの葛藤は金田一耕助を思わせる、という読み。
ひかり:たいへんっ! ちいかわの映画を、ミステリの評論家さんが本気で分析してるの! しかも「横溝正史に通じる」って……えっ、ちいかわに金田一耕助が出るのっ!?
ことね:出ないわよ。落ち着いて。……書いたのは千街晶之さん、ミステリ評論の第一人者ね。『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』——先日公開されたばかりの劇場版。それを「ホラー勢、ミステリ勢にも観てほしい」って論じてるの。
みずき:…かわいい生き物が島でわちゃわちゃする映画でしょ。どこにミステリの要素があるの。
ことね:そこよ。千街さんが挙げてるのは、"言葉の意味の解釈違い"を使ったミスリード。同じ一言が、まったく別の意味にも取れてしまう——その勘違いを、観る側にわざと踏ませる仕掛けね。それが横溝正史の『獄門島』と同じ骨格だ、という指摘なの。
ひかり:『獄門島』、名前は聞いたことある……! その仕掛けって、どういうものなの?
ことね:中身を言うとまるごと台なしになるから、形だけね。「たしかにそう言った。でも、その言葉はそういう意味じゃなかった」——読み終えてから、思わず前に戻って読み返したくなるやつ。しかも映画では、その手が終盤でもう一度使われるんですって。
みずき:…原作を知らない客も来る夏休みの映画に、そこまで仕込むんだ。……で、ちいかわは何してるの、その間。
ことね:探偵役よ。真相にたどり着いて、そのあと"知ってしまった側"として悩んで、選ぶ。千街さんはそこに金田一耕助を見てるの。……あと怖いのは巨大生物のほうじゃなくて、島の人たちの反応なんですって。原作以上に印象に残る、って書いてあるわ。
ひなた:ふぁ〜…かわいいお顔の子たちが、いちばん怖い目にあうのですね。……でもあの子たちの世界って、もともと働かないとごはんが食べられないのです。やさしい見た目のわりに、ずうっときびしいのですよ。
みずき:…それ、この記事でいちばん的確な作品評かも。
まとめ:かわいい絵柄の下に、言葉のすれ違いで組んだ古典の仕掛け。ちいかわ、まさかの名探偵ポジション。