村上春樹3年ぶり長編、初対面でいきなり「醜い」

村上春樹さんの3年ぶりの長編『夏帆 The Tale of KAHO』が刊行。26歳の絵本作家が初対面の男に「君みたいな醜い相手は初めてだよ」と告げられ、奇妙な出来事が始まる。初版30万部、発売4日で重版。

ひかり:ねぇ聞いてっ! 初対面の人からいきなり「正直いって、君みたいな醜い相手は初めてだよ」って言われたら、どうするっ!?

みずき:…帰る。で、誰に言われたの、それ。

ひかり:私じゃないよっ! 今月出たばっかりの小説の、書き出しのあたりなんだってー!

ことね:村上春樹さんの新しい長編ね。『夏帆 The Tale of KAHO』。新潮社から今月3日に出たばかりで、352ページ、原稿用紙にして650枚。長編としては『街とその不確かな壁』以来、3年ぶりなのよ。

ひかり:えっ、あの村上春樹っ!? ことね先輩、じゃあ、その失礼な人にけなされちゃうのは誰なのー?

ことね:主人公の夏帆——26歳の絵本作家よ。ごくふつうの若い女性なのに、その一言を境に、まわりで奇妙な出来事が次々と起こり始めるの。出版社によると、村上さんの長編で女性がひとりで主人公を務めるのは、これが初めてなんですって。デビューから47年目にして、ね。

みずき:…47年目にして、ようやく一人目。で、売れてるの。

ことね:初版30万部で、発売4日で5万部の重版が決まったそうよ。しかも書き下ろしではなくて、雑誌「新潮」に2024年6月号から今年3月号まで4回に分けて載ったものを、書き直してまとめたの。……で、読売新聞に出た歌人・大森静佳さんの評がまた良くてね。村上さんの文章を「能舞台を白足袋で進む"すり足"のよう」と書いていたの。夢幻能——主役が死んだ人の霊として現れる能の形式ね——になぞらえて、「この作家の小説世界の住民たちも皆、半分生きて半分死んでいるような印象がある」って。

みずき:…半分死んでる住民たちのところに、初対面で顔をけなしてくる男。世界観、初手から完成してる。

ひなた:ふぁ〜…でも、いきなり失礼なことを言う人って、たいてい物語のドアなのです。ちゃんとした人は、こんにちはって言って、そのまま帰っちゃうのですよ。

まとめ:3年ぶりの長編は、失礼な一言から始まる。物語のドアを叩くのは、たいていマナーの悪いほうの客。

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