中国製AIの中身が丸ごと公開。動かすには数TBのメモリ
Moonshot AIが2.8兆パラメーターのAI「Kimi-K3」の重みを公開し、誰でもダウンロードできるようにした。ただし動かすには数テラバイト級のメモリが要る。
ことね:今朝、いま世界でいちばん大きなAIが、誰でも持ち帰れる状態でネットに置かれたの。中国のMoonshot AIが作った「Kimi-K3」。2.8兆パラメーターの中身が、そのまま公開されたのよ。
ひかり:えっ何それっ! 中身が公開って……ことね先輩、AIの中身って何が入ってるのー? 設計図とかっ?
ことね:正確には「重み」ね。学習の結果できあがった、何兆個もの数字そのもの。作り方のコードじゃなくて、育ったあとの頭の中身を丸ごと配る感じ。だから「オープンウェイト」と呼ぶの。よく聞く「オープンソース」とは、実は指しているものが違うのよ。
みずき:…で、それ落としてきたら、うちのノートパソコンで動くわけ。
ことね:動かないわ。必要なメモリが数テラバイト級なの。仕組みとしては、896人いる"専門家"のうち毎回16人だけを起こして働かせる方式で、実際に動くのは1040億パラメーターぶん。それでも家の機械には載らない。結局クラウドで借りることになるわね。一度に読み込める長さは、100万トークンぶんあるのだけれど。
ひかり:んー…じゃあさ、誰も持って帰れないのに公開する意味ってあるのっ?
ことね:そこが今回の騒ぎの芯なのよ。会社が出した比較だと、難問を解かせるGPQA Diamondで93.5点——GPT-5.6 Solの94.1にあと一歩。ウェブを調べさせるBrowseCompでは91.2点で、Claude Fable 5の88.0を上回っているの。閉じた会社の中にしかなかった水準が、ダウンロードできる形で出てきた。しかも申し込みが殺到して、新規の受付を一時止めたそうよ。
みずき:…で、アメリカ側の反応は。
ことね:同じ日にAnthropicのCEOが、立場をまとめた文章を出しているわ。「うちはオープンウェイトモデルの禁止を主張したことは一度もない」——危険な能力がないものは公共の財産だ、と。そのうえで挙げた対策は3つ。中国に高性能な半導体を売らないこと。産業規模の"蒸留"——大きなAIに山ほど質問して、その答えを教科書に自分のAIを育てるやり方ね——を取り締まること。それと、十分に強いモデルは開いていようが閉じていようが安全性の試験を必須にすること。
みずき:…ちなみにNVIDIAもMicrosoftもMetaもGoogleもOpenAIも、「オープンなAIを規制しないで」って書簡に名前を並べてる。そこに入ってない大手が、Anthropic。点数の表より、こっちの席順のほうが読み応えある。
まとめ:無料で配られた2.8兆。「誰でもダウンロードできる」と「自分で動かせる」の間には、数テラバイトの距離がある。