AI各社がいま奪い合っているのは、電気技師と大工
AIのデータセンター建設で、電気技師や配管工の奪い合いが起きている。米Indeedの集計では関連求人が3年で3倍になり、時給制の設置・保守職は同種の職より42%高い。
みずき:…AIに仕事を奪われる、ってさんざん脅されてきたじゃん。……で、いまAIの会社がいちばん血眼で探してるの、電気工事の人と大工なんだって。
ひかり:えっ何それっ! 大工さんっ!? AIの会社だよねっ!? 全部パソコンの中で完結してるんじゃなかったのー!?
ことね:そこが盲点なのよ。AIを動かすには、まず建物が要るの。データセンターね。ニューヨーク・タイムズが先日まとめていて——サーバーを置く箱を建てる大工さんと鉄骨屋さん、何万台ぶんの電気を引く電気技師、その熱を冷ます配管屋さん。ここが足りないと、GPUを何枚買っても一枚も動かないのよ。
ひかり:あー……つまり、AIの会社がいま本当に困ってるのって、"つくる人がいない"ってことなのっ?
ことね:ええ。数字も出ているの。求人サイトIndeedの調査部門が今月出した集計でね。アメリカの求人1000件のうち、データセンター関連は6件。3年前の同じ月は2件だったから、3倍ね。……この2年、アメリカの求人は全体で約12%減っているのよ。データセンター以外のIT職も6%減。まわりが縮んでいる中で、ここだけ増えている。オハイオ州コロンバス、ミシシッピ州ジャクソン、ネバダ州リノみたいな街では、大手テック10社の求人が街の求人全体に占める割合が、去年の半ばは2%未満だったのに、いまは10%超なの。
みずき:…で、給料は。取り合いになってるなら、そこは上がってるんでしょ。
ことね:上がっているわ。時給で払われる設置・保守の仕事だと、同じ職種でよその現場に行くより中央値で42%高い。額にすると1時間あたり10ドルほど上乗せね。年俸制の職でも12%高いの。……それでも足りなくて、Metaは職業訓練の学校に1億1500万ドル。電気技師、溶接工、配管工、光ファイバーの技術者を、育てるところから始めていて、初年度で数千人を目指しているそうよ。BlackRockも5年で1億ドルを出して、5万人ぶんの訓練と就職支援。人が採れないから、学校から自前で建て始めたのよ。
ひかり:えー、すごいっ! 手に職ってこういうことなんだねー! ……あれっ? じゃあ"AIが仕事を奪う"って話、どこ行っちゃったのっ?
みずき:…この前の"見えない借金"の話、覚えてる? データセンターを長期で借りる約束が、決算書の外に1兆6500億ドルぶん積まれてるってやつ。……いま建ててるのが、その約束の建物。約束が消えたら、最初に仕事がなくなるのもこの人たち。給料がいいのは、そういうことも込みでしょ。
ひなた:ふぁ〜……でも、天井裏にもぐって配線するAIさんは、まだいないのですよね。……あの、その学校、わたしも通えますか? お給料をためて、大きいパフェを食べたいのです。
まとめ:AIに仕事を奪われると言われ続けた先で、いちばん引っぱりだこなのが電気技師と大工。天井裏の配線だけは、まだ人の手にしかできない。