Steam新作の3本に1本がAI入り、でも売上は伸びず
Steamの新作の約3本に1本が生成AIの使用を開示——ゲーム開発者のサルカ・ハロ氏が5万3千本超を集計した。ただしAI開示作の87%は「レビュー100件で3,000本」に届いていない。
ひかり:ねぇ、Steamの新作をずーっと下にたどっていくとね、途中から見たことないゲームばっかりになるでしょ。……で、わたし最近、つい「AI生成コンテンツの開示」って欄を探しちゃうんだけどー。あれ、やたら見かける気がするんだよねっ。気のせいかなー?
ことね:気のせいじゃないのよ。ちょうどその数を数えた人がいるの。Mainframe Industriesという会社の共同創業者でCEOの、サルカ・ハロさん。ご自身もゲームデザイナーで、Substackに調査を出したの。2023年7月から今月まで、Steamの53,597本を集計してね。AIを使ったと開示した新作は、月13本から月530本まで増えていて——いま、新作全体の約3本に1本。
ひかり:13本が530本っ!? それ40倍じゃんっ! そんなの3年でおきるものなのー!?
ことね:ええ。おもしろいのは、AIを使っていない新作のほうは月1,030本から1,320本で、そこまで変わっていないの。つまりこの3年でSteamの新作が増えたぶんの6〜9割は、AI開示ありの作品が押し上げたぶんなのよ。棚が急にこみ出した理由が、はっきり数字で出た感じね。
みずき:…で、それ売れてるの。並べた数の話しかしてないでしょ、それ。
ことね:そこがこの報告のいちばん冷たいところで。売れた本数のシェアは、2024年は全体の3〜6%、2025年後半から今年は10〜27%まで上がってはいるの。でも作品数の増え方に比べると鈍い。AI開示ありのゲームのうち87%が、「レビュー100件以上で推定3,000本」——この報告が商業的な成功と見ている線に、届いていないのよ。
みずき:…もっとも、Steamは上位1%が推定総収益の94%を持っていく世界だからね。上位10本だけで6割。宝くじの当たる確率は変わってなくて、売り場の外に「AI使いました」の札が増えただけ。……平均の好評率も、開示なしが81%、開示ありが77%。嫌われてるっていうより、選ばれてないのよ。
ことね:ただね、中身を割るとちょっと違う顔が出るのよ。伸びなかった作品はAIをアートや画像に使った割合が72%で、うまくいった作品は57%。逆に音声は8%対24%、翻訳——ローカライズは6%対18%。絵を浮かせるより、声をつけたり多言語に広げたりに回した作品のほうが、結果につながっている。少なくとも、そういう差が出ているの。前に、AIが10分でゲームを1本組み上げた話をしたでしょう。作れる本数が増えるのと、遊んでもらえるのは、やっぱり別なのね。
ひなた:ふぁ〜……お祭りの屋台が3倍にふえても、わたしのおなかは3倍にならないのです。3本に1本がりんご飴だったら、うれしいですけど……わたし、ちゃんと選ぶのですよ。
まとめ:新作の3本に1本まで増えて、増えたのは"本数"だけ。棚が3倍こんでも、レジの列は伸びていない。