ワールドカップの2割を売る計画、3日で消えた
FIFAがW杯の商売部分を切り出した会社の2割を投資家に売ると発表。欧州の55協会が「この案が生きているうちはFIFAの大会に出ない」と宣言し、3日後に撤回された。
みずき:…3日。……借りた本、まだ1章も読めてない。……そのあいだに、ワールドカップが売りに出されて、引っこめられた。
ひかり:えっ売りに出されてたのっ!? ワールドカップってあの、みんなでテレビの前で叫ぶやつだよねっ!? だ、誰が誰に売るのーっ!?
ことね:まあ落ち着いて。順番に整理しましょう。売ろうとしたのはFIFA——ワールドカップを主催している団体ね。インファンティーノ会長が火曜に出した案なの。W杯やクラブW杯の「商売の部分」だけを新しい会社に切り出して、その会社に200億ドルの値をつける。で、そのうち2割を投資家に買ってもらう。FIFAは8割を持ったまま、42億ドルほど現金が入る計算よ。買い手の中心になるのは、ジョシュア・クシュナーさん——トランプ大統領の娘婿の、弟にあたる人ね——がつくった投資会社。
ひなた:ふぁ〜……2割だけなら、ちょっとですね。……ホールケーキだと、ひと切れくらいなのです。
みずき:…そのひと切れ、口を出す権利つきだけどね。しかも、賛成してもらうほうにも値札がついてた。1協会あたり2000万ドル、返事の締切は9月19日。……同じ紙が、211の協会ぜんぶに配られたんだって。
ひかり:えっ、お金もらえるのっ!? じゃあみんな「はーい」って手ぇ挙げちゃうんじゃないのっ?
ことね:ならなかったのよ。木曜に、UEFA——欧州のサッカー連盟ね——が緊急の会合を開いて、55の協会が全会一致で拒否したの。理由ははっきりしていて、株を持った人はふつう経営に口を出すからよ。試合をいつやるか、どこでやるか、誰が中継するか。そこに配当を気にする人が加わるのが嫌だ、と。しかも「この案が生きているかぎり、FIFAの大会には出ない」と表明したの。男子も女子も、ワールドカップも含めてね。声明の言葉はこう。「売っていいものではないものがある。ワールドカップはサッカーのものだ」
みずき:…ドイツ、フランス、イングランド、スペイン。……その4つが来ないワールドカップ、誰が何を見るの。
ことね:同じ日に北中米カリブ海の41協会も拒否して、アジアは統治のやり直しを求めたわ。レアル・マドリードやバイエルンといったクラブも反対に回って、FIFAの内部からも批判が出て、幹部がひとり辞めている。……そして金曜の夜、会長が引っこめたの。「支持がどれだけあったにせよ、この計画はもう当初の目的にかなわない分断を生んでしまった」と言ってね。
ひなた:ふぁ〜……おべんとうを分けっこしようとしたら、「それ、そもそも自分のおべんとうじゃないのです」って言われちゃったのですね。
まとめ:200億ドルの値札がついた3日後に、その値札は剥がされた。買い手はいたが、出る人がいなくなった。