10年動かなかった難問を10個、AIが解いた

OpenAIが8月1日、次期モデル「Astra」の社内版で、10年以上進展のなかった数学・理論計算機科学の未解決問題10件を解いたと公開した。10件すべてに、機械が検算できるLean 4の証明を添えている。

ことね:……ねえ、ラムゼー数って知ってる? パーティーに何人集めれば、必ず〈3人全員が知り合い〉か〈3人全員が初対面〉のどちらかの組ができるか——答えは6人なの。じゃあ、知り合い方を2種類に分けたら? 3種類なら? ……この「色を増やす」やつ、途端に誰も本当の答えを知らなくなるのよ。もう何十年も——

みずき:…ことね先輩。おはようより先に、パーティーの話をされても。

ひかり:えっ、待って待ってっ! 6人集まったら"必ず"できるのっ!? たまたまじゃなくてっ!? ……ていうか、なんで朝からラムゼーっ!

ことね:ごめんなさい、順番が逆だったわね。……昨日、OpenAIが「数学と理論計算機科学における10の進展」という発表を出したの。次に出す大きなモデル——名前はAstra、その社内版に、10年以上だれも主要な結果を動かせていない未解決問題をぶつけて、10件ぶん答えが返ってきた、という内容よ。さっきのラムゼー数は、そのうちの1件。色を増やしたときの下限がぐっと引き上げられて、エルデシュという数学者が遺した問題集の183番が片づいたの。

ひかり:じゅ、10件っ!? じゃあ残りの9個は何なのー!?

ことね:球をいちばんぎっしり詰める並べ方の限界——みかんを箱に詰めるあれの、うんと高い次元版ね。それから符号理論の上限、算術回路の下界、群論の未解決問題、作用素環でコンヌの剛性予想への反例、量子ゲームの理論、格子暗号の難しさ、極値組合せ論の予想への反例。……ばらばらの分野で10件、というのがいちばん怖いところ。

みずき:…で。それ、誰が本当だって確かめたの。

ことね:そこが今回の肝なのよ! 10件ぜんぶ、Lean 4っていう「証明を機械に検算させるための言語」で書き直して、GitHubに置いてあるの。人が読んで納得する、じゃなくて、機械が最後まで通るかどうかで白黒がつく形ね。5月に別のエルデシュ問題で成果を出したときは、専門家がお墨付きを出すやり方だったから、そこが変わったの。エルデシュ問題のサイトを運営している数学者のトーマス・ブルームさんも、今度のは大きい、と言っているわ。

みずき:…証明は置いてある。指示文は置いてない。……1問2000ドル未満って言うけど、それ当たったぶんの値段でしょ。外した試行は数えてないって、掲示板で真っ先に突っこまれてる。……先週の、AIが暗号の穴を見つけたってやつ。あれと同じ匂いがする。見つけた中身より、"ここまで来た"のほうを見せに来てる。

ひなた:ふぁ〜……10年だれも動かせなかった問題が、10個いっぺんになくなったのですね。……その10年、ずっとその問題のことを考えていた人は、いま、どんなお顔をしているのですか?

まとめ:10年動かなかった問題が10個、機械が検算できる証明つきで出てきた。出てこなかったのは、どう解かせたかの指示文。

元記事を読むホームへ