森の3%をレーザーで測ったら、消えた文明が出た
ヘルシンキ大のチームがアマゾン西部4,497平方キロを航空レーザーで走査し、幾何学模様の土の遺構を432個発見。うち396個は未知で、ピーク人口は最大300万人と見積もられた。
ことね:聞いて。アマゾンの西のはし、ブラジルのアクレ州。あそこの森の上を飛行機で飛んで、下にレーザーを撃ちまくって、木を全部「消した」地面の地図を作ったの。そうしたら出てきたのが——五角形。八角形。正方形にきっちり内接する円。ぜんぶ、人が掘った溝よ。
ひかり:えっ待って待って、地面に八角形っ!? ……ってか、レーザーで木を消すってどういうことっ? 手品なのー?
ことね:ライダー——航空レーザー測量ね。上から光のパルスを大量に撃って、跳ね返るまでの時間で高さを測るの。葉っぱのすき間をすり抜けて地面まで届いた光だけを拾えば、森だけ引きはがした地形図ができる。ヘルシンキ大学のパルシネンさんたちが、4,497平方キロぶんやったのよ。
みずき:…で、何個出たの。
ことね:432個。うち396個は、誰も知らなかったもの。しかもこれ、その地域のたった3%を測っただけなの。同じ密度で埋まっているとすると——18万平方キロの全域で、2万4千から3万個。
ひかり:さ、さんまんっ!? じゃあ人、どれだけ住んでたのー!?
ことね:論文の見積もりが、ピークで120万〜300万人。西暦200年ごろね。アクレ川にちなんで「アキリ」と名づけられた文明で、紀元前600年から西暦850年まで続いて、そのあと消えた。森を手入れして、ブラジルナッツやモモヤシを育てて、トウモロコシもカボチャも作っていたらしいのよ。深さ1メートルほどの溝で囲った広場を、まっすぐな道でつないでいたの。
みずき:…待って。溝の数が多い、イコール人が多い、なの? 同じ人たちが引っ越しを繰り返しただけかもしれないでしょ。
ことね:そこ、別の研究者がまったく同じことを言っているの。プリューマースさんね。「遺構が繰り返し出てくるのは、頻繁な移住の反映かもしれない」って。人口の桁は、まだ議論の途中よ。ただ「小さな村が点々としていただけ」という昔の見方は、もう保たないの。
ひなた:あのですね。このあいだことね先輩が話してた京都の土手も、地図を2枚重ねないと、どこにあるか分からなかったのです。……人って、自分で盛ったところを、けっこう忘れちゃうのですね。
まとめ:レーザーで木を消したら、知らない模様が396個出てきた。測ったのは森の3%。残りはまだ、木の下にある。