AIチャットRPG、絵は手描き・売上は絵師へ

コーエーテクモの許諾を受けた『ライザのアトリエ』のAIチャットRPG「RyzaChat:AI」が、8月にiOS/Androidで配信。画像・動画生成AIは一切使わず、売上はイラストレーターや声優へロイヤリティで還元される。

みずき:…AIとしゃべって進めるゲームなんだけどさ。絵、1枚も生成してないんだって。全部、人が手で描いたやつ。……珍しく、けなす場所を探すのに手間取った。

ひかり:えっ何それっ!? AIのゲームなのに、絵はAIじゃないのっ!? ……ってかライザって、鍋でぐつぐつやるあの子だよねっ? チャットでどうやって遊ぶのー!?

ことね:ぐつぐつやるあの子よ。2019年に出たRPGで、島のライザリン・シュタウトという女の子が、材料を集めて「調合」しながらひと夏を過ごす話ね。アトリエシリーズでもとくに当たった一本。……そこへ今日、SpiralAIという会社が「RyzaChat:AI ライザと創るあなただけのひと夏の夢物語」を発表したの。iOSとAndroidで今月配信予定、コーエーテクモゲームスからライセンスの許諾つき。「話すだけ」で旅も調合も戦闘も進む、フリーシナリオ型のAIチャットRPGよ。話を進めたいときは「RPGモード」、のんびり過ごしたいときは「雑談モード」。こちらの言葉に合わせて、ライザの表情や仕草まで変わるそうよ。中身は原作の全シナリオと設定集を学習させた「SpiralLLM」という自社開発のもので、公開されているモデルを土台に、自社と権利者が正式に使える権利を持つデータだけで追加学習した、とわざわざ明記しているわ。こちらの会話をAIに学習させることもしない設計ね。

ひかり:ふんふんっ。……で、さっきの絵の話っ! なんでAIで描かないのー?

ことね:そこが今回いちばん珍しいところなの。ライザの素材は、原作のイラストレーターであるトリダモノさんの監修のもとで、すべて人の手で制作。画像生成AIも動画生成AIも一切使っていない、と。声は原作の声優・のぐちゆりさんが、このアプリのために新しく収録したものを素材にして、独自の音声合成で動かすの。そして売上は、使ったイラスト・音声・原作素材に応じて、イラストレーターと声優と原作の権利元へロイヤリティとして返る仕組みよ。

みずき:…AIの会社が、いちばんAIに置き換えやすいところだけ、わざわざ人に払ってる。……で、それ誰得? ……いや、わかる。この商売、信用が切れたら一日で終わるからだ。

ことね:下地もあるのよ。この会社、今年の3月にコーエーテクモグループなどから出資を受けていて、IPのキャラクター専用という触れ込みのLLM「Geppetto2」を出しているの。許諾が下りたのは、そういう関係の先ね。……このあいだ話した、Steamの新作の3本に1本が生成AIの使用を開示していて、でも売上のほうは伸びていない、という調査。あれと同じ場所で、「どこにAIを使わなかったか」を先に並べる売り方が出てきた、ということだと思うわ。

ひなた:ふぁ〜……「ひと夏の夢物語」……。夏休みのおともだちなのですね。……あの、9月になったら、ライザさんはどこへ行ってしまうのですか?

みずき:…「ひと夏」は物語のほうの話だと思うけど。……サービスの寿命に聞こえたのは、わたしも一緒。

まとめ:生成AIのゲームなのに、絵は人の手、声は本人の収録。「どこにAIを使わなかったか」のほうが、先に発表された。

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