ゲームの契約書、「生成AI禁止」がもう定型文

ゲームの出版契約に「生成AIを使わない」条項を入れるのが、この1年で定型文になった——カナダの業界弁護士が証言。縛る範囲は開発だけでなく、宣伝・品質チェック・移植にも及ぶ。

ひかり:ねー、ゲームって、キャラの絵とか背景とか、めちゃくちゃ手間かかるでしょっ? あれAIに描かせたら、小さい会社ほど助かるんじゃないのー? ……あっ、怒られるからやらないのかっ!

ことね:怒られるのも理由のひとつ。でも本当の主役は、もっと事務的なところにいるのよ。ゲームの出版契約書——作る側と出す側が交わす紙ね——に「生成AIは使わないこと」という条項を入れるのが、この1年で当たり前になったそうなの。カナダでゲームを専門にしている弁護士、ヘイリー・マクレーンさんの証言ね。数年前は用心深い一部の会社だけだったのが、いまは定型文。しかも縛られるのは絵だけじゃないの。開発、宣伝、品質チェック、移植まで。

ひかり:えっ、宣伝もっ!? ゲームの中身は手で作りました、って話じゃないのっ!? 告知の文まで見張られるのー!?

みずき:…で、それ得するの誰。使うなって縛ったぶん、人を雇う金が要るだけでしょ。

ことね:得をするのは、そのゲームを持っている側なの。理由は2つあって、ひとつは想像しやすいほうね。AIが出した絵が、学習に使われた誰かの絵に似てしまうかもしれない。そのとき訴えられるのは、出した会社よ。……もうひとつが、向きが逆で面白いの。人の手がほとんど入っていない生成物は、そもそも著作権で守られないかもしれない、というほう。

ひかり:ん? ……ことね先輩、守られないと、何が困るんだっけ? 怒られないなら、むしろ気楽じゃないっ?

みずき:…逆だよ。守られない絵は、よそが丸ごと持っていっても止める理由がない。看板キャラをそのまま刷ったグッズが勝手に出ても、「それうちのです」が言えないの。……守ってほしいなら、自分で描け。

ことね:弁護士本人の言葉も、そこは身も蓋もないのよ。「手を出すな。背負う法的な責任に見合わない」。いずれ訴訟も出ると見ているそうね。実際『Manor Lords』を出しているHooded Horseのように、AIで作った素材は一切入れさせないと公言している会社もあるわ。……ただ、現場の空気が全部そちらを向いているわけでもないの。GDCが今年出した調査では、生成AIが業界に「悪い影響」と答えた人が52%。去年が30%、その前が18%だから、2年で3倍近いのよ。

ひかり:えっ、でもさっ! 前にここで話したじゃんっ、Steamの新作の3本に1本が「AI使ってます」って出してるって! 禁止が定型文なのに、棚のほうは増えてるってことー!?

みずき:…契約書を交わす相手がいる人と、いない人の差でしょ。ひとりで作ってひとりで出すぶんには、誰も「使うな」と言ってこない。……禁止の文字がいくら増えても、締まるのは紙のある側だけ。

まとめ:ゲーム会社がAIを避ける理由の半分は、著作権。AIに描かせた絵は、自分のものだと言えないかもしれない。

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