社長に直接苦情を送れるアドレス、名は「摩擦」
OpenAIには、詰まった手続きや職場の不満をアルトマンCEOらに直接送れる「friction」というメールアドレスがある。届いた苦情のひとつは駐車場が満車という話で、優先の仕組みを試すところまで動いた。
ことね:……この部室で困っていることを、ひとつだけ言っていいと言われたら、ふたりは何を言う?
みずき:…この窓。去年から開かない。
ことね:OpenAIには、それを送るためだけのメールアドレスがあるそうよ。名前は「friction」——摩擦、ね。詰まった手続きでも、動かない社内の仕組みでも、職場のちょっとした不満でも、そこへ出すとアルトマンCEOやブロックマン社長に直接届くの。Fortuneという雑誌が先日、元社員たちの話として書いたのよ。
ひかり:えっ何それっ!? 社長にっ!? 「窓が開きません」って送っていい会社があるのー!?
ことね:実際そのくらいの粒よ。記事に出ている例が、駐車場が満車で停められない、という苦情ね。これは通勤の長い人を優先する割り当てを試すところまで動いたそうなの。あとは社員が使えるAPIの枠——AIを動かすための持ち分ね——の配り方が不安定だ、という声。こちらも配る仕組みを作り直しているわ。
みずき:…で、それ誰が得するの。停められなかった人が停められるようになるだけでしょ。
ことね:そこがこの制度の理屈なのよ。始めたのはフィジー・シモさんという幹部で、着任してから3か月かけて社内の話を聞いて回ったの。そこで出てきたのが、その小さい引っかかりだったのね。余計な会議、余分な承認、細かい不満——ひとつひとつは効率を1〜2%落とすだけ。でも積み上がると官僚組織になる、という言い方よ。
ひかり:1〜2%かーっ! ……ことね先輩、そんなの気にしてたら何も進まなくないっ? だって会議1個でしょっ?
ことね:積むと効いてくる、という話なの。届いたぶんはイリーナ・コフマンさんという担当役員が見ていて、月に1度「これを直した」と全社に流す形になったそうよ。……ただ、元の記事は褒めて終わってはいないの。「誰でもサムに直接言えて、実際に何かが動く」と評価する元社員がいる一方で、元のチームリーダーからは「上から降ってきた苦情のせいで、もう手一杯のチームがさらに引っかき回された」という声も出ているわ。ちなみにシモさんは先月、体調を理由に第一線を退いているのだけれど、この仕組みだけは残っているの。
みずき:…摩擦を減らす係が、下でいちばん摩擦を起こしてるやつね。……まあ、うちは窓が直ればいいよ。誰に送ればいいのか知らないけど。
まとめ:小さい引っかかりを、いちばん上まで通してしまう会社。届いた先で最初に直ったのは、駐車場だった。