『火垂るの墓』に幻の脚本、鍵は「清太の幽霊」

高畑勲監督の死後、幻の脚本と7冊の構想ノートが発見された。清太の幽霊という視点にたどり着くまでの創作過程が明らかに。完成版にも未完成のまま残った箇所が3か所あったという。

ひかり:ねえねえ、『火垂るの墓』に「幻の脚本」があったんだってっ!? 採用されなかった台本が、監督が亡くなったあとに見つかったってニュース見たよ!!

ことね:新潮社から出た『高畑勲と「火垂るの墓」』という本の話ね。著者は寺越陽子さん。高畑勲監督が亡くなったあと、資料が2つ見つかったのよ。ひとつは、原作のコピーに監督が書き込みをした「7冊の構想ノート」。もうひとつが、脚本家の深沢一夫さんが書いたのに、結局は使われなかった脚本——それが「幻の脚本」ね。

みずき:…使われなかった台本を、今さら読んでどうするの。

ことね:それがね、いちばんの発見につながっているの。その脚本や書き込みをたどっていくと、映画の柱になっている「清太の幽霊が、亡くなったあとも妹を見守っている」という語りの構成に、監督がどう行き着いたかが分かるのよ。原作の形をそのまま活かしながら"今"とどうつなぐか、という難題を、その視点で解決したと見られているの。

ひかり:え、でも幽霊の視点って、映画の本編にもう出てくるやつだよね? 何が新しく分かったのー?

ことね:そこがポイントよ。映画にある構成そのものは前から知られていたの。今回わかったのは、そこにたどり着くまでの試行錯誤——ボツになった脚本や、監督のノートの書き込み——が、初めて資料としてつながったということね。

みずき:…完璧主義で有名な監督が、それだけ手を入れて、まだ足りないところがあった、ってこと?

ことね:ええ、実はそうなの。今回の発見で、公開されたフィルムのうち3か所が、監督が最後まで手を入れきれないまま世に出ていたことも分かったのよ。あれだけの作品でも、完成、とは言い切れない部分が残っていたのね。

ひなた:ふぁ〜……あの、ドロップのかんづめの映画、なのです……わたし、いつも思うのです。おなかがすいて悲しくなるお話を、おなかがすいてるときに見ちゃダメ、なのです……

まとめ:名作の仕掛けは、公開から40年後、使われなかった脚本とノートが答え合わせをしてくれた。

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