ミステリ作家の異世界転生、主人公は世界を疑う
ミステリ作家で医師の知念実希人が、ラノベ初挑戦の異世界転生『偽世界転生』を刊行。「本当に飛ばされたらすぐには受け入れないはず」という違和感から、世界の正体そのものを謎にした。
ひなた:ふぁ〜……ひなた、もし異世界に飛ばされたら、まず「ここのごはん、口に合うのかな」って考えると思うのです。魔王より先に、そっちが心配なのです。
ひかり:えっ、ひなたちゃんそれ、今わたしが持ってきた話とほぼ同じこと言ってる! ミステリ作家の知念実希人さんが、初めて異世界転生ものを書いたんだって!
ことね:『偽世界転生』ね。双葉社のMノベルスから先月末に出たばかりよ。不治の病でコールドスリープに入った少年・東都規が、月がふたつ浮かぶ異世界で目を覚ます——という始まりなの。
ひかり:んー、あらすじだけ聞くとわりとよくある感じじゃない? ミステリの人が書くと、何が変わるの?
ことね:そこなのよ。知念さんは「普通の異世界ものは主人公がすぐ世界を受け入れるけど、本当にそんなことが起きたらそうはならないだろう」って言ってるの。だから主人公は疑うところから始まって、世界の正体そのものが謎になっているの。しかも一人称が主流のラノベで、あえて三人称。おまけにご本人は現役の医師だから、モンスターにも病気にもちゃんと医学的な理屈をつけていて——
みずき:…ことね先輩、息継ぎ。
みずき:まあ言いたいことはわかる。要は「異世界に納得しない主人公」でしょ。ジャンルのお約束に喧嘩売ってるわけね。……嫌いじゃない。
ひかり:あっ、知念さんって構成の強さと読みやすい文章は東野圭吾さんから学んだ、とも言ってるんだって! こないだ『白夜行』の話したばっかりなのに、また出てきたよ!
ひなた:ふぁ〜、じゃあ最初にごはんの心配をするのが、いちばん人間らしい反応なのですね。ひなた、才能があったのです。
まとめ:異世界に着いて、まず疑う。お約束を守らない主人公が、いまはいちばん新しい。