本の背を切ってAIに読ませる、Amazonの倉庫
ラスベガスにあるAmazonの倉庫「VGT3」で、本の背を機械で切り落とし、ページをスキャンしてAIの学習データにしている。中で働いていた人の証言を404 Mediaが伝えた。
ひなた:ふぁ〜……ひかり先輩、恐竜って、本を食べるのですか?
ひかり:えっ何それ! 食べないよっ、たぶん! ……ていうか、なんで急に恐竜なのー?
ひなた:アメリカの倉庫の入口に、描いてあったのです。歯をむき出しにした恐竜が、本をがしっと持っているのです。……あれ、いまから食べるところなのです。
ことね:それがね、笑い話で済まないのよ。ラスベガスにあるAmazonの倉庫「VGT3」の、チームのロゴなの。……ひかり、先月ここで話した件、覚えている? AI各社が古本をパレット単位で買い集めて、背表紙を切り落としてスキャンしている、でも買い手の名前だけは誰も明かさない——っていう話。あの匿名の買い手のひとつに、名前がついたの。
ひかり:えーっ、それがAmazonだったってことっ!? 本屋さんから始まった会社じゃんっ!
ことね:404 Mediaという媒体が、そこで働いていた人の話を載せたのよ。作業はこう。届いた箱を開けて、本を機械にかける。証言では「人が操作する機械で、ボタンを押すと上から降りてきて、すぱっと切れる」。これで背が落ちるのね。そのあと1冊ずつISBN——本の裏についているバーコードよ——を読ませてから、ばらけたページをスキャナに通すの。スキャナは20台から25台くらい並んでいて、お札を数える機械みたいに、ぱらぱらっとめくって撮っていくんですって。
みずき:…で、撮り終わったあとの紙は。まさか棚に戻すわけじゃないよね。
ことね:ばらばらのまま、背の高い段ボールの入れ物に放り込まれるそうよ。丁寧に重ねるのではなくて、ぽいっと。もう1冊には戻らないの。届く本も選り好みされていなくてね。図書館の払い下げ、店じまいの在庫、海外から来たパレット——日本から届いたパレットもあれば、ドイツ語やロシア語の本、お役所の文書まで混ざっていたそうよ。封も切っていない新品が山で来ることもあって、証言した人はこう言っているの。「持って帰れたらいいのに、と思ってしまう。そこだけは好きになれない」。
みずき:…その人、「世に出回ってる冊数を減らしてることになる」とも言ってた。ちなみにこの倉庫、見つけたのは追跡装置。ある古書店が、売った稀少本の行き先を怪しんで荷物に忍ばせたら、着いた先がここ。で、Amazonの返事が「お客様が使う製品やサービスを開発・改善するために、通常の商流を通じて本を購入しています」。……全部答えてるようで、何ひとつ答えてない。
ひなた:ふぁ〜……ひなた、給食のパンを半分こするとき、ちぎってから返してと言われたら、ちょっと困るのです。……あの恐竜も、たぶん読みたかっただけなのです。読み方を知らなかっただけなのですよ。
まとめ:入口の恐竜は、本を読んでいるつもりで描かれたのかもしれない。中でやっていることを聞くと、そうは見えない。