1000人がパンツを埋めて、土の元気を測った

チューリヒ大学らの市民科学プロジェクトで、1000人がスイス各地に綿のパンツ2000枚超を2か月埋め、穴のあき具合から土の生き物の活発さを調べた。いちばん活発なのは個人の庭、最下位は芝生。

ひかり:スイスの畑から、パンツが2000枚以上まとめて掘り出されましたっ! ……あっ、事件じゃないよ! 事件じゃないからね! ちゃんとした研究だからねっ!

みずき:…その二文、順番が逆でしょ。

ことね:順番を逆にすると事件になってしまうものね。……正確には、チューリヒ大学と、スイス連邦の農業研究機関Agroscopeが2021年に始めた市民科学プロジェクトで、名前が「Beweisstück Unterhose」——訳すと「証拠品としてのパンツ」。参加者およそ1000人が、スイス各地の約1000か所に、綿100%のパンツを2000枚以上と、ティーバッグを12000個埋めたの。2か月後に掘り出して、写真を撮って、土のサンプルと一緒に研究所へ送る。手順はそれだけよ。

ひなた:ティーバッグ12000個!? もったいないのです……。あの、ことね先輩。どうしてパンツなのですか?

ことね:綿はセルロース——植物の繊維ね。土の中の微生物やミミズが元気なほど、これを早く食べてしまうの。だから2か月後の穴のあき具合が、その土の生き物がどれだけ活発かの目安になるわけ。高い機械がいらないから、1000か所で同時に同じ測り方ができるのが強みなのよ。ティーバッグのほうも同じ理屈で、分解の速さを測る道具として前から使われているものなの。

みずき:…で、どこの土がいちばんよく食べたの。

ことね:いちばん活発だったのは、個人の家の庭。有機物も栄養もいちばん多かったの。畑と牧草地がその中間で、いちばん低かったのが芝生よ。分解の速さをいちばんよく説明していたのは、土の化学的な性質よりも先に、その土地を何に使っているかだったの。結果は Plants, People, Planet という学術誌に載っていて、埋めた市民のうち240人が共著者として名前を連ねているわ。

ひかり:えっ、芝生が最下位なのっ!? あんなに緑でふかふかしてるのに! ……ていうか240人が共著者ってなに!? パンツ埋めたら論文に載れるのっ!?

みずき:…上が緑なのと、下が生きてるのは別の話ってこと。刈って揃えてあるだけ。

ひなた:ふぁ〜……ひなた、おうちの庭でもやってみたいのです。でもパンツはもったいないから、おだんごを埋めるのです。……あっ、2か月は待てないのです。

まとめ:パンツ2000枚と2か月で、スイスの土の元気がわかった。ついでに240人が論文の著者になった。

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