娘の名前が、町の禁句と同じになった

ホラー作家・櫛木理宇が新刊『無音 忌み語を紡ぐ町』(集英社)を語る。口にできない言葉が渦巻く町が舞台で、著者は「音の怖さは想像力に訴えるぶん増幅する」として、聴覚の恐怖は小説向きだと話す。

ことね:夜の山で、人が大笑いする声が聞こえたら怖い? ……その声、鳥かもしれないのよ。

ひかり:えっ何それ怖いっ! 鳥が笑うのっ!? ことね先輩、朝いちばんの話題がそれなのっ!?

ことね:ワライカワセミね。人が大笑いしている声にそっくりな鳴き方をするの。……これ、ホラー作家の櫛木理宇さんが新刊のインタビューで「音の怖さ」の例に挙げていた話なのよ。ほかに、子熊の声が「おいっ、おいっ」というおじさんの声に聞こえる動画の話も出てくるわ。

みずき:…で、その新刊は音が怖い小説なわけ? 本、音しないけど。

ことね:そこが著者の言い分なの。音の怖さは、読む人の想像力に訴えかけるぶん増幅する。だから映像より小説に向いている、と。ホラーは目で見せるジャンルだからこそ、耳の怖さをやってみたかったそうよ。タイトルもずばり『無音 忌み語を紡ぐ町』。集英社から今月5日に出たばかりね。前半は町に伝わる怪談を並べて雰囲気を作って、後半で本題に入る作りなの。

ひかり:その「忌み語」って、なに?

ことね:口に出してはいけない言葉のこと。舞台の町では「タガイチガイ」「アカンボ」「トリカエゴ」……そして「タカシマサキ」。昔この町で亡くなった少女の名前ね。ここからが本題で、主人公は再婚したことで、娘の名前がその忌み語とぴったり同じになってしまうの。

ひかり:えっ、それ毎日呼ぶやつだよっ!? 家の中でしか呼べないってことっ!?

みずき:…名前って、この世でいちばん呼ばれるために作られた言葉じゃん。呼ぶたびに町が黙るんでしょ。設定がもう意地悪。

ひなた:ふぁ〜……でも、こわい言葉って、だれかが「言っちゃだめ」って決めたから、こわくなったのですよね。ワライカワセミさんは、ただ笑ってるだけなのに……

まとめ:「言っちゃだめ」と決めた瞬間から、ただの名前が怖くなる。ワライカワセミは、なにも悪くない。

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