ソニーとワーナー、Anthropicを提訴
ソニー・ミュージックパブリッシングとワーナーチャペル・ミュージックが、数万曲を無断でClaudeの学習に使われたとしてAnthropicを訴えた。訴状はこれを「史上最大級かつ最も露骨な、知的財産の窃盗のひとつ」と表現している。
ひなた:ふぁ〜♪ あーい、わーんとふぉー、くりすます、いず、ゆーーなのです〜♪
みずき:…まだ9月1日。気が早いにも程があるでしょ。
ひかり:ちょっと待ってひなたちゃん、その歌いまダメっ! ……ダメじゃないけど、その曲いま裁判所にあるのっ!
ことね:まあ落ち着いて。順番に整理しましょう。ソニー・ミュージックパブリッシングと、ワーナーチャペル・ミュージック。この2社が8月28日、カリフォルニア州北部地区の連邦地裁にAnthropicを訴えたのよ。訴えられているのは会社と、CEOのダリオ・アモデイさん、それに共同創業者のベンジャミン・マンさん。訴状に名前が挙がっている曲がね——「Eye of the Tiger」、「Ain\
ひかり:えっ待って、そこ分かんないっ! AIって曲を聴くわけじゃないよねっ? あと「パブリッシング」って何なのっ? レコード会社とは違うの?
ことね:いい引っかかりね。音楽の権利は大きく二階建てなの。歌手が歌った「録音」の権利と、その手前にある「曲そのもの」——メロディと歌詞の権利。パブリッシャーは後者を預かる会社よ。だから争点はレコードの音ではなくて、歌詞と楽曲のほう。……そのうえで、訴状の主張はこうなの。Anthropicは著作物を大規模にトレントで落とし、かき集めた、と。出どころとして名前が挙がっているのがLibrary GenesisとPirate Library Mirror——いわゆる海賊版の図書館ね。2021年6月にマンさんが自分で少なくとも500万冊、2022年7月には社員がさらに200万冊を落とした、とされているわ。……極めつきが、訴状に引用された社内チャット。マンさんが同僚に海賊図書館のリンクを送ったら、返ってきた一言が「zlibrary my beloved」。訳すなら「Zライブラリ、愛してる」。
みずき:…証拠を自分たちで書き残してる。しかも愛の告白つきで。
ことね:金額の話もしておくわね。故意の侵害だと認められれば1作品あたり最大15万ドル、著作権の管理情報を消したぶんが1件2万5000ドル。対象が数万曲だから、単純に掛けると数十億ドル規模になるの。……そして訴状は、去年9月にAnthropicが著者たちと15億ドルで和解したことにも触れているのよ。同じトレントの件でね。「あれは商売の必要経費として処理されただけだ」という言い方で。Anthropic側の言い分も出ているわ。「出版社側の主張には同意しない。法廷で断固として争う」。
みずき:…こないだここで、Anthropicが国防総省を相手に勝った話をしたよね。判事が「違法」って言ったの、8月28日。……この訴状が出たのも28日。勝った日に、別の入口から訴えられてる。
ひなた:ふぁ〜……あの、AIさんは、その歌をぜんぶ、もうおぼえてしまったのですよね。……おぼえちゃったものは、返せないのです。
まとめ:訴状にいちばん効いていたのは、社内チャットの「愛してる」の一言。おぼえてしまった歌は、もう返せない。