腕の時計が言うカロリー、5機種ぜんぶ盛っていた
フロリダ国際大学が主要スマートウォッチ5機種の消費カロリー表示を実測と比べたところ、全機種が過大評価だった。最も正確だったのはApple Watchで、GarminとSamsungは大きく盛り気味。
ひかり:ふっふっふ。きのう自転車で峠を登りきったんだけどねっ、時計が「620キロカロリー消費」って出したのっ! これもうドーナツ2個ぶん取り返してるよねっ!? ねっ!?
ことね:ひかり、そのドーナツ、いったん置きましょうか。……ちょうど今朝、その数字を正面から測り直した研究が出たところなの。フロリダ国際大学が58人に自転車を漕いでもらって、腕の時計が出す消費カロリーと、本当の消費カロリーを並べたのよ。結論から言うわね。5機種ぜんぶ、多めに出ていたわ。順位はついたの。いちばんマシだったのがApple Watchで、研究者の言い方だと「過大評価が著しく少ない」。悪いほうはGalaxy WatchとGarminのForerunnerが並んで、どちらも大幅に盛っていた。Fitbitは真ん中くらい……ただしこれは、おかしな値を外したあとの成績よ。外さないと、本当の消費量の4.5倍を出した回があったの。
ひかり:よ、4.5倍っ!? ことね先輩、それ620キロカロリーが、ほんとは140くらいってことっ!? ドーナツ、半分も食べられないじゃんっ!
みずき:…その4.5倍はFitbitがしくじった回でしょ。ひかりの時計にそのまま当てはめて青くなるの、気が早い。……で、なんで機械は盛るの。
ことね:しくみを知ると腑に落ちるわ。時計はね、カロリーそのものは測っていないの。手首に緑の光を当てて、血の流れの変化から脈を読んで、それと加速度センサーの揺れを、各社が自前の計算式に入れて「たぶんこれくらい」と出しているだけ。……で、その光は、皮膚が厚い人や色が濃い人ほど届きにくくて信号が弱くなるのよ。入り口がずれたら、そのあとの計算はまとめてずれるわ。論文の題に「体脂肪と肌の色」とわざわざ入っているのは、そのためね。
みずき:…体脂肪が多い人ほど誤差が大きい。それ、いちばん数えたい人がいちばん盛られてるってことじゃん。いい趣味してる。
ひなた:ふぁ〜……ことね先輩。ひとつわからないのです。ほんとうのカロリーのほうは、どうやって測ったのですか? おなかの中、あけて見られないのです。
ことね:いい質問ね。息よ。COSMED K5という、吐いた息を集める機械を背負って漕いでもらったの。人は体を動かすと酸素を使って二酸化炭素を吐くから、息の中身を測れば、どれだけ燃やしたかがかなり正確に分かるわけ。……ただ、口にマスクをつけて機械を背負う必要があるでしょう。だから普段は使えないの。研究者も「表示された数字を正確な値として扱うことはできない」と言い切っているけれど、毎日おなじ時計をおなじように着けているなら、増えた減ったの目盛りとしてなら使えるはずよ。
ひなた:ふぁ〜……じゃあ時計さんは、いつも多めに言ってくれているのですね。……ひなた、その子とは気が合いそうなのです。おやつの量も、だいたい多めに言われたいのです。
まとめ:腕の時計はカロリーを測っていない。緑の光と揺れから「たぶんこれくらい」と言っているだけで、その「たぶん」は多めに出る。