人がビーバーの真似をしたら、稚魚が7.5倍生きた

カリフォルニア北部・スコット川の支流で、地元団体がビーバーのダムを模した木の構造物を川に組んだところ、ギンザケの稚魚の生存率が8%から60%に上がった。7月8日に論文が出た。

ひかり:決めたっ! わたし、ビーバーになるっ!

みずき:…とりあえず座って。何を読んだの。

ひかり:カリフォルニアの川でねっ、人間がビーバーのダムのニセモノを作ったら、サケの赤ちゃんが10倍生きのこったのっ! 10倍だよっ!?

ことね:正確には7.5倍ね。……まあ落ち着いて、順番に整理しましょう。舞台はカリフォルニア州の北のはし、クラマス川に注ぐスコット川の支流よ。シュガー・クリークとフレンチ・クリークという、小さな流れ。地元のスコット川流域協議会が、川底に木の杭を打ち込んで、そこに柳や針葉樹の枝を編み込んで、すき間を砂利とわらと泥で埋めたの。ビーバーが作るダムを人の手で真似た構造物で、「ビーバーダム・アナログ」と呼ぶわ。2015年にシュガー・クリークへ2基、2018年にフレンチ・クリークにも小さいものをいくつか。

ひかり:えっ、ことね先輩、枝と泥でいいのっ!? コンクリートでガッチリ作らなくてっ?

ことね:いいのよ。むしろ、それがいいの。……結果を言うわね。フレンチ・クリークでは、ギンザケの稚魚が生きのこる割合が、作る前の平均8%から、作ったあとは60%まで上がったの。先に手を入れていたシュガー・クリークも55%。NOAAの北西水産科学センターの魚類生物学者マイケル・ポロックさんは、この結果を「頭がどうにかなりそうだ」と言っているわ。論文がFrontiers in Ecology and Evolutionという学術誌に載ったのが7月8日ね。

みずき:…杭と枝と泥。材料費、ほぼゼロでしょ。……で、なんでそれで効くの。

ことね:せき止めると、流れがゆるむのよ。ゆるんだところに池ができて、まわりが湿地になる。二つの川を合わせて9000平方メートルくらい、新しい住みかが増えた計算ね。水はゆっくり流れるほど夏でも冷たいままで、稚魚のストレスが減るの。数のうえでは8500匹以上を養える広さよ。しかもこの調査、2013年から2015年の大干ばつをまたいでいてね。水の少ない年でも、スコット川に戻ってくる親魚の数は、比べた他の川より保たれていたの。

ひなた:ふぁ〜……ビーバーさんは、たぶんお魚のこと、なんにも考えてないのです。……おうちを作っただけで、7.5倍なのです。

まとめ:杭を打って枝を編んだだけで、稚魚の生存率は8%から60%へ。ビーバーは魚のために作っていない、というところがいちばん効いている。

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