餃子を食べ終わると、AIのおまけが付いてくる
中国でAIのトークンが景品になっている。北京の餃子店は食後に10元ぶんの引換券を1日100枚以上配り、通信会社は9.9元で1000万トークンを売っている。
ひかり:いらっしゃいませ〜っ! 餃子2人前おまたせしましたっ、お会計にAIトークン10元ぶんお付けしておきますねっ! ……って、お店で言われたらどんな顔すればいいのっ!?
みずき:…おまけがラー油ならわかる。なんでAIなの。
ことね:京谷園という餃子屋さんね。店主の李波さん、41歳。7月からAIのクラウド事業者と組んで、食事のあとに10元ぶん、1.5ドルくらいのトークン引換券を配っているの。1日に100枚以上出ているそうよ。
ひかり:えっ何それ気になるっ! ……ていうかことね先輩、その「トークン」って何なのっ? ゲーセンのコインみたいなやつっ?
ことね:発想はそれで合っているわ。AIに文章を読ませたり書かせたりするとき、言葉を細かく刻んだ「かたまり」の個数で分量を数えるの。それがトークン。使った量ぶんだけ料金がかかるから、要するにAIの燃料の量り売りね。……その燃料が、餃子のおまけになった。
ひなた:ふぁ〜……餃子でわたしのおなかがいっぱいになって、そのうえAIのおなかまでいっぱいになるのですね。すごくお得なお店なのです。
ことね:餃子だけじゃないのよ。北京のAGI Barはドリンクを1杯頼めばDeepSeekが使い放題。長沙の喫茶店はコーヒーにトークンが付く。中国電信は9.9元で1000万トークン、中国移動は上海で1元、14セントで40万トークン。銀行まで来ていて、招商銀行はMiniMaxのユーザーに最大18億トークン、上海浦東発展銀行はアリババのQwenに最大30億トークンぶんの補助を出したわ。
みずき:…18億。桁がバグってるでしょ。そんなに配って、で、その餃子屋のAI、客は本当に使ってるの?
ことね:そこは正直なところ、話題にはなったけれど実際に使う人はまだ限られている、と報じられているわ。それでも配れるのは、中国製のモデルがOpenAIやAnthropicの同等品より6割から9割安いから。中国全体で1日に使われるトークンは500兆、2024年のはじめは1000億だったのよ。広州の海珠区では8月から、トークンをどれだけ使ったかで会社の信用を測る「トークンローン」まで始まっているわ。
ひなた:ふぁ〜……おまけって、使わないままでも、もらった瞬間がいちばんうれしいのです。……でも餃子は、ちゃんと食べたほうがいいのです。
まとめ:燃料を配って、走った距離で信用を測る。いま世界でいちばん安い燃料は、餃子1皿のおまけについてくる。