CMを飛ばすボタンが、11月から有料になる
録画番組のCMをボタン1押しで飛ばせるTiVoの「SkipMode」が、11月2日で終わる。同じことをする有料オプションが同じ月に始まるが、値段はまだ発表されていない。
ことね:……ちょっと問題を出すわね。11年間ずっと無料で使えていた機能が、11月2日でなくなります。同じ働きをするものが、同じ月に有料で始まります。……さて、何の機能でしょう。
ひかり:えーっ、なにその意地悪な出し方っ、ことね先輩っ! ……えっと、写真? 音楽? ……ヒントっ! ヒントちょうだいーっ!
みずき:…テレビ。録画。……CM。
ことね:正解。さすがね。アメリカのTiVoという録画機の話よ。SkipModeという機能があってね、録画した番組を見ているときにリモコンのボタンを1回押すと、CMの区切りをまるごと飛ばして本編の続きに戻れるの。30秒送りを何度も押すんじゃなくて、一発。2019年には、押さなくても勝手に飛んでくれる設定も足されたわ。それが11月2日で終わり。残るのは30秒送りのボタンと早送りだから、自分で押して飛ばすぶんには、これまでどおりよ。
ひかり:えっ、でもそれ、買ったときから付いてた機能だよねっ!? あとから取り上げて売り直すのって、ありなのっ!?
ことね:そこが荒れているところなの。代わりに始まるのが「Premium Auto Commercial Skip」という追加オプションで、最初の30日は無料、そのあとは月額。値段はまだ出ていないわ。……TiVoには「ライフタイム」という買い切りの契約があってね、機械と一緒に一度払えばずっと使える、というもの。掲示板ではその契約の人たちがいちばん怒っていて、「おとり商法じゃないか」という書き込みも出ているの。
みずき:…売ってるのは「ボタンを押す回数を減らす権利」ね。CMを消してくれるわけじゃない。CMを飛ばす手間のほうを消してくれる。……あと、詳しい人のブログにこう書いてあった。TiVoに個人のお客はもうほとんど残ってなくて、残った人たちは、本命の取引先——ケーブル会社とテレビメーカー——に売り込む前のベータテストをやらされてるんじゃないか、って。
ことね:その見方は妥当だと思うわ。……ただ、この機能の来歴を知ると、もう少し味わい深いのよ。SkipModeが始まったのは2015年、TiVo Boltという機種と一緒。そのときのプレスリリースの見出しが「CMに中指を立てろ」。……さらに昔は、30秒送りそのものが表に出ていない機能だったの。再生中にリモコンで「選択・再生・選択・3・0・選択」と押すと、チャイムが3回鳴って使えるようになる、という裏コマンド。一度ソフトから消されて、あとのバージョンで戻ってきてもいるわ。慎重にならざるを得ない事情はあったの。2012年に、Dish Networkという会社が録画したCMを自動でまるごと消す「AutoHop」を出して、アメリカの主要な放送局からまとめて訴えられているのよ。だからTiVoは2015年、線引きをはっきり言っていたわ。「中身は変えていない。CMを自動で消してもいない。飛ばすのはユーザーだ」——当時の担当役員の言葉。
ひかり:隠しコマンドっ!? ……えっ、昔のほうが自由だったってことっ!? 逆だと思ってたーっ!
ひなた:ふぁ〜……あの。……ひなたのおうち、CMのあいだにおやつを取りに行くのです。……ボタンで飛ばしてしまうと、おやつが間に合わないのです。……ただのほうが、おなかはうれしいのです。
まとめ:11年前の売り文句は「CMに中指を立てろ」。その中指が、11月から月額になる。