バズった砂浜に、地元民「加工しすぎ」
長崎県大村市の「ガラスの砂浜」の写真がSNSで話題になり、地元から「現実はこんなもんです」と実物の写真が相次いだ。この浜、そもそも景観のためではなく、大村湾のために県が造ったものだった。
みずき:…ひかり。ゆうべ「絶対行く」って騒いでた砂浜の写真、あるでしょ。……同じ場所を地元の人が撮ったやつが、下にぶら下がってる。……見る?
ひかり:えっ、なにその聞き方っ!? こわいこわい、見たくないっ! ……やっぱり見るっ! ……えっ、地味っ!? わたしが見たやつ、足元じゅう虹色にキラッキラだったんだけどーっ!?
みずき:…「大村市民が言うのもなんだけど、加工しすぎ」。地元の人がそう書いてる。あとは「私が見たのと全然違う」「現実はこんなもんです」って、実物の写真が次々。……しかもそれ、青空の日に撮ったやつだって。
ことね:場所は長崎県大村市の「ガラスの砂浜」ね。……ただこれ、観光のために作られた浜じゃないのよ。長崎県が大村湾のためにこしらえたものなの。2016年の1月から6月にかけて、森園公園の前の海岸に、廃ガラスの再生砂を約3000立方メートル敷いたの。広さは約1ヘクタール、サッカーコート1面半くらいね。
ひかり:えっ、ことね先輩、じゃあ何のために砂浜にガラス撒いたのっ? ふつう拾うほうじゃないっ? ……というか、危なくないのー?
ことね:割れたガラスじゃないの。捨てられた瓶を砕いて、角を丸めた再生砂ね。……そして狙いは景色じゃなくて水よ。大村湾ってほとんど閉じた湾で、水が入れ替わりにくいの。おまけに浅場や自然の砂浜がどんどん減っていた。だから汚れた泥のついた砂を入れ替えるとき、普通の砂ではなく、わざと粒の大きいガラスの砂を使ったのよ。粒が大きいほうがアサリが棲みつきやすいから。……アサリはプランクトンを食べるでしょう。貝が増えれば、水はきれいになるの。県は、二枚貝のほかにカニ類やヤドカリ類の生息も確認できたと書いているわ。2018年には時津町の崎野自然公園にも、同じやり方で約0.1ヘクタール造っているの。
みずき:…つまりあれ、景色じゃなくてアサリの家。人間が写真撮りに来ることは、たぶん一ミリも想定されてない。
ひなた:ふぁ〜……あの。じゃあ、あのキラキラは、アサリさんが毎日見ているのですね。……ひなた、アサリさんがちょっとうらやましいのです。……でも、アサリさんはおいしいのです。
ひかり:ねえでもさっ、盛る必要なくないっ? だって「捨てた瓶が砂浜になって、貝が帰ってきた」だよっ? そっちのほうがよっぽどすごい話じゃんっ!
みずき:…同意。彩度いじって人を呼んで、来た人に「思ってたのと違う」って帰られるの、いちばん損してるの浜のほうだから。
まとめ:盛られていたのは彩度だけ。捨てた瓶が浅瀬になって貝が戻ってきた話は、無加工でも十分まぶしい。