犯人はもうバレている。それでも続編が出る
1983年のアドベンチャー『ポートピア連続殺人事件』に初の続編。原作者の堀井雄二が制作総監督を務め、ファミコン版のフルリメイクに新しい捜査ファイル5編を足して2027年に出る。
ことね:——ひかり。ひかり、ちょっと来て。来て。……ごめんなさい、落ち着くわね。深呼吸。……1983年に出たゲームに、いま初めて、続きが出るのよ。書いた本人が総監督で。
ひかり:えっ何それっ、1983年!? うちのお母さんが生まれた年じゃんっ! なんてゲームなのっ?
ことね:『ポートピア連続殺人事件』。堀井雄二さん——のちに『ドラゴンクエスト』を作る人ね——が書いた推理ゲームよ。最初はPC-6001というパソコン向けに1983年6月、エニックスから出たの。2年後の1985年11月にファミコンへ移った版は、ファミコンで初めてのアドベンチャーゲームだったわ。プレイヤーは「ボス」と呼ばれる刑事で、相棒のヤスに命令を出しながら、神戸で起きた事件を追いかけるのよ。
みずき:…その相棒、名前が有名になりすぎたやつでしょ。「犯人はヤス」って、遊んだことない人まで言う。
ひかり:えっ、ちょっ、みずきーーっ!! これから遊ぶ人がいたらどうするのーーっ!!
みずき:…43年たってる。時効。
ことね:……その「もう知られている」を、作る側が正面から引き受けたのが今回なの。昨日のニンテンドーダイレクトで発表された『続ポートピア連続殺人事件:忘却の埋葬』ね。2027年に、Nintendo SwitchとSwitch 2、それとSteam向け。中身は二階建てよ。一階がファミコン版のまるごと作り直し。二階が新しく足された5つの捜査ファイルで、こちらは1980年代の神戸を舞台に、新しい登場人物たちと、視点を変えて事件を追い直すの。……座組も面白くてね。発売はジー・モード、開発はroom6とゲームスタジオ、企画・制作はORION PROJECT。2年前に『オホーツクに消ゆ』——これも堀井さんの推理ゲームね——を作り直した人たちで、今回はあちらのキャラクターも顔を出すそうよ。キャラクターデザインが『進撃の巨人』『SPY×FAMILY』の浅野恭司さん、音楽はピアニストの清塚信也さんが30曲以上を書き下ろすんですって。
ひかり:あれっ、でもさーっ。ポートピアって、ちょっと前にも名前を見た気がするんだけどっ……。わたし、タイムラインでめちゃくちゃ流れてくるの見たもんっ!
ことね:よく覚えていたわね。ただ、あれはゲームの続編ではないの。2023年の4月に、スクウェア・エニックスが同じポートピアを「AIの技術デモ」として無料で配ったのよ。命令を一覧から選ぶ代わりに、相棒へ日本語の文章で——声でも——指示を出せる、という実験ね。……ところが評価が伸びなくて、いまも「非常に不評」のまま。400件あまりの感想のうち、好評はおよそ15%よ。一覧から「しらべる」を選ぶより、口で「そこ調べて」と言うほうが伝わらなかったの。……ちなみに今回の新作、9月17日から幕張メッセの東京ゲームショウで、冒頭だけ試遊できるそうよ。
ひなた:ふぁ〜……あの。ひなた、思ったのですけど。……ヤスさんは、43年ずっと犯人だと言われ続けているのですよね。……こんどのお話では、少しだけ休ませてあげてほしいのです。
まとめ:43年前の犯人の名前は、いまや検索するまでもない。それでも神戸には、まだ聞いていない話が5つ残っている。