Neovimの寄付箱に、10ビットコインが3年半眠っていた
テキストエディターNeovimのサイトに載るビットコインの寄付アドレスに、2023年に10BTC(いまの相場で約80万ドル)が入ったまま動いていないことに、Hacker Newsの投稿者が気づいた。最後の出金は2019年。
ことね:……10.88。……ひかり、ちょっとこの数字、声に出して読んでくれる? 桁を見まちがえている気がするの。
ひかり:じゅってんはちはち……ビットコインっ? えっ、ことね先輩、それ誰のお財布っ!? 人のお財布って、のぞいていいのっ!?
ことね:のぞけるのよ。ビットコインは、どのアドレスにいくら入って、いつ出ていったかが、全部公開の台帳に残るの。持ち主の名前が書いていないだけでね。……これは、Neovimの寄付用アドレス。公式サイトのいちばん下に、いまも載っているわ。先日Hacker Newsに「寄付箱をのぞいたら、2023年に10ビットコインがいっぺんに入って、そのまま動いていない」という投稿が出たの。投稿者の見積もりで、いまの相場で約80万ドル。気になって、自分でも台帳を確かめていたところよ。
ひかり:80万ドルって……1億円超えっ!? ……で、ねおびむって何っ!? 1億円もらえる人っ!?
ことね:人じゃなくて、道具よ。キーボードだけで文章やプログラムを書く、テキストエディター。2014年にVimという古株から枝分かれした、有志のプロジェクトでね。黒い画面の中で、指を一度もマウスに動かさずに、単語ごと、段落ごと、かっこの中身ごと、ひと息で書き換えて……あ、ええと、要するにプログラマーの愛用品。集まったお金は、中心の開発者が1か月以上、仕事として集中できるように使う、と支援ページに書いてあるわ。
みずき:…で、なんでその1億円、誰も使ってないの。
ことね:台帳からわかるのはここまでよ。このアドレスは2014年の春から小口の寄付を受けてきた古株で、これまでに入ったのは合計およそ13ビットコイン。でも出ていったのは、2015年と2019年の2回だけ。10ビットコインがぽんと届いたのは2023年の3月で、送り主はわからない。……それに今のNeovimは、寄付の窓口がOpen Collectiveという別の仕組みなの。支援ページにも「資金はOpen Collectiveで管理している」とあるわ。コメント欄には「もうあの財布は懸賞金には使っていない」という書き込みや、「フッターを直し忘れているだけでは」という推測も出ている。プロジェクトからの正式な説明は、まだないの。
ひかり:でもさ、自分たちのお財布なんだから、Neovimの人がぱぱっと引き出せば解決じゃないのっ?
ことね:そこが、コメント欄がいちばんざわついたところなの。ビットコインを動かすには「秘密鍵」という長い文字列が要るの。金庫の鍵ね。……ただ、この金庫には合鍵も、管理人室もない。鍵をなくしたら、持ち主本人でも二度と開けられないの。銀行みたいに「本人確認をして再発行」ができないのよ。台帳の上で鍵が使われたとはっきりわかる最後は、2019年の出金。投稿者の言い方を借りれば、「確実に鍵があったと言えるのは、7年前が最後」。
みずき:…けさの174行といい。ネットって、置きっぱなしにしたものほど長生きする。
まとめ:サイトのいちばん下の寄付箱には、10ビットコインが入ったまま。開ける鍵がまだあるのかは、プロジェクトしか知らない。