「時間はいつも勝つ」。バフェット、96歳で会長を退く

米バークシャー・ハサウェイを60年あまり率いたウォーレン・バフェット氏(96)が会長を退き、名誉会長に。後任は息子のハワード氏で、経営は今年1月からCEOを務めるグレッグ・アベル氏が担う。

ひなた:ふぁ〜、ことね先輩。「ファーザー・タイム」さんって、どなたなのです? 「いつも必ず勝つ」って書いてあるのです。……負けなしの、おすもうさんなのですか?

ことね:ふふ、おすもうさんじゃないわ。「時の翁」——時間を人の姿にしたものよ。「時間には、だれも勝てない」ということね。これはウォーレン・バフェットさんが、株主への手紙に書いた一文なの。現地の18日、アメリカのバークシャー・ハサウェイという会社の会長を、その日のうちに退いたのよ。96歳。1965年、34歳で傾いた繊維工場を引き継いで、保険に鉄道に電力、コカ・コーラやアップルの株まで持つ、時価総額1兆ドルの会社に育てた人なの。日本の総合商社5社の株を買ったときは、こっちでも大きなニュースになったわね。

ひかり:えっ、96歳まで現役だったの!? うちのおじいちゃん、87歳でゲートボールの審判を引退したのに、上には上がいるよっ! ……あれ、でもバフェットさんって、去年もう社長をやめるってニュースになってなかったっけ?

ことね:よく覚えてたわね。正確には、会社を動かすCEO——社長の役は、今年の1月にグレッグ・アベルさんへ渡していて、取締役会をまとめる会長の席だけ残っていたの。それでも毎日オマハの本社に来ていて、6月にGoogleの親会社へ100億ドルを投資した話も、引っぱったのは本人だったそうよ。今回はその会長の席も譲って、名誉会長に。後を継ぐのは息子のハワードさん。71歳で、30年以上この会社の取締役をしている人よ。

みずき:…はい出た、息子。結局、世襲じゃん。

ことね:そう見えるわよね。でも、手紙の書き方がうまいの。「会社を動かすのはグレッグ。ハワードは文化と価値観の番人。どちらも、帳簿に載っているどんな資産より価値がある」。それから「ハワードのことは、株主が持っている保険だと思ってほしい。使う日が来ないことを願う保険だ」ですって。つまり、ハワードさんは経営をしない。経営はアベルさんで、ハワードさんは会社の文化を守る番人。保険と同じで、出番がないのがいちばん、ということね。この形は、2011年には本人がもう口にしていた、ずっと前からの計画なのよ。

ひかり:息子を保険にたとえるの、さすが保険の会社の人だっ! ……で、ハワードさんって、どんな人なのっ?

ことね:ひと言でいうと、農家さんなの。1977年からネブラスカで畑をやっていて、いまもイリノイで家族の農場を見ているし、コカ・コーラの取締役でもあるわ。それにね、フルネームはハワード・グレアム・バフェット。真ん中の「グレアム」は、バフェットさんの恩師で『賢明なる投資家』を書いたベンジャミン・グレアムからもらった名前なのよ。息子に先生の名前をつけるくらい、根っからの投資の人だったってこと。

ひなた:ふぁ〜……畑のひとで、コーラのひと……。ハワードさんがいれば、とうもろこしを焼いて、コーラで流しこめるのです。……会長さんというより、夏祭りの屋台なのです。

みずき:…株は今年1%しか上がってないし、手元の現金は3655億ドル。アベルさんの宿題は山積み。……ま、自分で手紙を書いて席を渡せたなら、時間に負けたとは言わないけどね。

まとめ:「時間はいつも勝つ」と書いた96歳は、負ける前にバトンを2本に分けていた。経営はアベルに、番人役は息子に。

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