生き物が一気に増えた理由は、南極の氷の下にあった

オーストラリア国立大の2人が、南極から流れ出た砂のジルコンを1700粒ほど調べ、氷の下にヒマラヤ級の山脈の根が眠っていると報告した。その山が削れて出た栄養が、5億3800万年前のカンブリア爆発を支えたという。

ひなた:ひなた、きょう大きな発見をしたのです。……かき氷って、食べすすむと、下のほうに甘いのがたまっているのです。

みずき:…それ、発見じゃなくて重力。

ひかり:あっ、でもそれで思い出したっ! とんでもない版があるんだよっ。南極の氷をどかしたら、下にすっごいものが埋まってるんだってっ!

ことね:ええ、その記事ね。オーストラリア国立大学のベイ・チェンさんとイアン・キャンベルさんが出した研究よ。南極の氷の下に、ヒマラヤ級の山脈の「根」が残っている、という話なの。……氷の下に山があること自体は、前から知られていてね。1958年にソ連の隊が地震の波を使って見つけた「ガンブルツェフ山脈」は、ヨーロッパアルプスくらいの規模と形のまま、まるごと氷に埋まっているわ。

ひかり:ことね先輩、氷の下なんでしょっ? どうやって「ヒマラヤ級」ってわかるのっ? 掘るのっ!?

ことね:掘らないの。ジルコンという、とても丈夫な鉱物の粒を読むのよ。岩が砕けて砂になっても、ジルコンだけは生き残るの。しかも中のウランが決まった速さで別の元素に変わっていくから、粒ひとつひとつが「わたしは何億年前の岩から来ました」という名札を下げているようなものなのね。ふたりは南極から流れ出た砂の粒を1700個ほど調べて、6億5000万年前から4億5000万年前という名札が、不自然に多いことを見つけたの。ちょうど、ゴンドワナ——南半球にあった巨大な大陸ね——ができあがっていく時期よ。

みずき:…で、山ができたら生き物が増えるの? つながりが見えないんだけど。

ことね:山は削れるでしょう。削れた粉が川で海まで運ばれると、それが栄養になるの。栄養が届けば海の小さな生き物が増えて、酸素を出す。しかも、その死骸が土砂にすばやく埋められると、せっかくの酸素が使われずに残るのよ。論文の言い方だとこう。「地球でもっとも劇的な進化の時期が、もっとも重要な造山の時期と重なるのは、偶然とは考えにくい」。その劇的な進化というのが、5億3800万年前にはじまったカンブリア爆発。海の生き物の形が、いっきに増えた時期ね。……ちなみに1週間ほど前には、別のチームが「ゴンドワナは基準を満たす本物の超大陸だった」と報告しているの。隠れていた陸のかたまりが見つかって、当時の大陸の8割ぶんになった、って。

ひなた:ふぁ〜……つまり、お山がぜんぶ溶けて、海のごはんになったのです。……かき氷と、いっしょなのです。いちばん甘いところは、いちばん下にたまるのです。

みずき:…ひなた。それ、きょういちばんまともなこと言ったよ。

まとめ:ヒマラヤ級だった山は、削られ、流され、いまは氷の下に根だけ残っている。その削りかすから、わたしたちは始まったらしい。

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