ネズミ専用のロープウェイができた。片道76メートル

鶏小屋のネズミを生け捕りにして山の下へ運ぶロープウェイを、工作系の動画をつくる人が自作した。ゴンドラは3Dプリント製でアクリル窓つき。罠と乗り物を兼ねていて、下に着くと床が開いて茂みに放される。

ひなた:ふぁ〜……ひなた、ゆうべ変な夢を見たのです。ちいさなネズミさんが、ちいさなゴンドラに乗って、山をすーっとおりていくのです。……窓も、ついていたのです。

みずき:…それ、夢じゃない。きのうHackadayに出てた。窓はアクリル。

ことね:つくったのは、アメリカで工作の動画を出している「Super Valid Designs」という人よ。鶏小屋にネズミが出るの。ふつうは罠でつかまえて処分するけれど、この人はこう考えたの——駆除してもまたどこかから入ってくるなら、生きたまま遠くに放したほうが、結局は手間が少ないんじゃないか、と。それで、罠と乗り物をひとつにしたわ。小屋の天井にえさ付きの落とし戸をつけて、踏んだネズミが真下のゴンドラへ落ちる。そのゴンドラが、そのままロープウェイで山を下っていくの。3Dプリント製で、みずきの言うとおりアクリルの窓つき。……動画のタイトルが「野生のネズミのために公共交通をつくった」よ。

みずき:…ネズミに、公共交通。……で、ことね先輩。どこまで運ぶの。

ことね:順番に話させて。リフト本体のほうは、そのへんにあった木材と有り合わせの部品で、かなり大ざっぱに組んだそうよ。何度も山を上り下りして調整して、やっと安定して動くようになったんですって。下に着くと、ゴンドラの床がまた開いて、積んである枝の山にぽとん。Hackadayは「ネズミにとっては、ぜいたくな移動手段だ」と書いているわ。……で、その距離ね。コメント欄によると、250フィート。76メートルくらい。

みずき:…76メートル。うちから、駅より近い。

ひなた:ふぁ〜……あの。ニワトリさんは、ネズミを食べるのです。……ゴンドラ、いりましたか?

ことね:……そこも、コメント欄で言われていたわ。「うちの鶏はネズミに容赦しなかった」って。距離のほうはもっと言われていてね。1999年に、アメリカの感染症の専門誌に短い報告が載っているの。コロラドの牧場跡の古い宿舎で、研究者たちがネズミの調査をしていたときの話よ。宿舎に入ってくるシカシロアシネズミを、殺さずに生け捕りにして、耳に標識をつけて放していたの。最初は50メートルほど離して放したら、戻ってくる。それで距離をどんどん伸ばして、最後は1500メートルまで離したわ。同じ種類では、1.2キロ離されても帰ってきたという記録もある。だから著者たちは「家からネズミを追い出すのに、生け捕りの罠を使うのはやめたほうがいい」と書いているのよ。……鶏小屋にいるのは家ネズミで、種類はちがうのだけれどね。

みずき:…つまり、片道じゃなくて往復券。

ひなた:ふぁ〜……それなら、いいのです。朝、ゴンドラで山をおりて、夜、歩いてのぼる。……ひなたの通学と、おなじなのです。

まとめ:ネズミは76メートル下の茂みで降ろされる。別のネズミでは1.2キロ先から帰った記録がある。……たぶん、また乗る。

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